
2026年7月1日~9月30日にリリースされた、配信でしか聴けないクラシック音楽のアルバム(EP、シングルを含む)のなかから、「レコード芸術ONLINE」編集部注目のタイトルを紹介します。
※記事の公開時点で配信限定のアルバム(EP、シングルを含む)かつ、フィジカル化の予定を確認できないものを取り上げています
※本編の登場タイトルに、音楽ストリーミングサービス「Apple Music」の試聴(プレビュー)リンクを埋め込んでいます。アカウントをお持ちの方は、サインインすることで全曲をお聴きいただけます。お持ちでない方も、この記事上にて一部をご試聴できます
Select&Text=編集部(H.H.)
ウストヴォリスカヤ:アーメン,プーランク:人間の声
これまでも数々の名録音をリリースしてきたコンビによる、2025年5月のライヴ音源。ここでは「声」がフィーチャーされた。ウストヴォリスカヤは主の祈りが朗読される禁欲的なもので、一転、プーランクでは電話越しに愛の崩壊が、管弦楽の大きな官能に抱かれる。両者は、人間の根源的苦悩の部分において、根底でつながれているのだ。

ウストヴォリスカヤ:交響曲第5番《アーメン》,プーランク:人間の声
トニー・F・シアス(vo)サラ・アリスティドゥ(S)フランツ・ウェルザー=メスト指揮クリーヴランド管弦楽団,他
〈配信開始:2026年7月10日〉
[The Cleveland Orchestra]
原題:Ustvolskaya: Symphony No. 5 – Poulenc: La voix humaine
【関連音源情報】※新譜月評ページへのリンク
♪『ウストヴォリスカヤ:交響曲第1番~第5番』(クリスティアン・カールセン=ロンドンpo)[BIS]
シューベルトとの孤独
マティルダ・ヘイとレイチェル・クララ・リード、2人の映画監督によるドキュメンタリー映画『シューベルトとの孤独』は、最愛の父を失ったピアニスト、シャオユアン・フーを描いたものだ。作中で彼は、シューベルトの晩年作を通してその喪失を乗り越えようとする。このアルバムはそうした格闘の末に生まれたものである。

シューベルトとの孤独
〔シューベルト:ピアノ・ソナタ第19番D958,白鳥の歌 D957,孤独 D620,他〕
ジョージ・シャオユアン・フー(p)ロッテ・ベッツ=ディーン(Ms)
〈配信開始:2026年7月10日〉
[Platoon]
原題:Solitude with Schubert
ウクライナ・ミックステープ
ウクライナに生まれフィンランドに育った指揮者ダリア・スタセフスカが、未出版の楽譜などを1年以上調べ、厳選した祖国ウクライナの知られざる作曲家作品を紹介する。デジタルで閲覧できるライナーノーツによれば、このアルバムの魂はリャトシンスキーの交響詩《グラジナ》にある。

ウクライナ・ミックステープ
〔レフコ・コロドゥブ:荘厳序曲,ボリス・リャトシンスキー:交響詩《グラジナ》,フェディール・ヤキメンコ:弦楽のための「ノクターン」,詩曲=夜想曲《天使》,ミコラ・リセンコ:歌劇《タラス・ブーリバ》序曲〕
ダリア・スタセフスカ指揮BBC交響楽団
〈配信開始:2026年7月17日〉
[Platoon]
原題:Ukrainian Mixtape
アメリカ・イン・ワイマール
1920年代のドイツ・ワイマール(ヴァイマル)共和国時代と現代アメリカの文化的・音楽的相互影響を深く掘り下げたアルバム。アメリカの音楽がワイマールに与えた多大な影響を振り返ると同時に、当時のワイマール社会が抱えていた芸術的エネルギーや「余白」の、現代のアメリカ文化への波及について探る、という双方向の視点をテーマとしている。

アメリカ・イン・ワイマール
〔アンタイル:ジャズ・シンフォニー (1955年版),エリントン:ソフィスティケイテッド・レディ,ヴァイル:歌劇《三文オペラ》~海賊ジェニー,ジョン・グローヴァー:Right Now,トニア・コー:Her Land, Expanded,J・I・テイト:火と光~Scene 4, Clans〕
レイ・ホトダ指揮アメリカン・コンポーザーズ・オーケストラ,他
〈配信開始:2026年7月24日〉
[Platoon]
原題:America in Weimar: On the Margins
シューマン:交響曲第4番
2021年9月のライヴ音源。今年26年がシューマン没後170周年にあたるというので発表されたもので、19年以来NDRエルプフィル(かつての北ドイツ放送響)を率いるアラン・ギルバートが指揮を振っている。室内楽的にも聴こえる明晰な演奏は、HIPが浸透した現代におけるスタンダードなシューマンをも思わせる。

シューマン:交響曲第4番
アラン・ギルバート指揮NDRエルプフィルハーモニー管弦楽団
〈配信開始:2026年7月31日〉
[NDR Elbphilharmonie]
原題:Schumann: Symphony No. 4 in D Minor, Op. 120 (Live, Hamburg, 2021)
【関連音源情報】※新譜月評ページへのリンク
♪『マーラー:交響曲第7番《夜の歌》』(アラン・ギルバート=NDRエルプpo)[NDR Elbphilharmonie]
ブルックナー:交響曲第7番(ノーヴァク版)
MTTとブルックナーというとあまりイメージの薄い方も多い気がする。どちらかといえばマーラーの演奏・録音の機会が多かった指揮者だ。これは2005年7月のライヴ音源で、手兵サンフランシスコ響ではなく世界有数のユース・オケ、ヴェルビエ祝祭管の演奏。推進力にあふれた若々しい音像は、ブル7の響きをスタイリッシュに現前させる。

ブルックナー:交響曲第7番(ノーヴァク版)
マイケル・ティルソン・トーマス指揮ヴェルビエ祝祭管弦楽団
〈配信:2026年7月31日〉
[Verbier Festival Gold]
原題:Bruckner: Symphony No. 7 in E Major, WAB 107 (Live at Verbier Festival, 2005)
シューマン/交響曲全集
2018年のウォルト・ディズニー・コンサートホール・ライヴ。ここでは「シューマン・フォーカス」と題して交響曲が全曲演奏された。ギルバート=NDRエルプフィルの第4番との比較でいえば、意外にも、より重厚感があって伝統的な響きがするのはこちらの方だ。対話的なギルバートとリッチなドゥダメル、ぜひ聴き比べていただきたい。

シューマン/交響曲全集
グスターボ・ドゥダメル指揮ロサンジェルス・フィルハーモニー管弦楽団
〈配信開始:2026年8月7日〉
[Platoon]
原題:Schumann: The Complete Symphonies
ヴェルディ:レクイエム
2026年1月のライヴ録音。ドラマ的な感情のほとばしりが印象的に演奏されがちな楽曲だが、歌劇場経験も豊富なウェルザー=メストはオケを、かなり抑制的に響かせる。ただし一方のグリゴリアンを筆頭とする声楽陣はわりあい激情派なアティチュードなので、結果的に素敵なバランスに落ち着いている。これが狙いだったのか!

ヴェルディ:レクイエム
アスミク・グリゴリアン(S)デニズ・ウズン(Ms)ジョシュア・ゲレーロ(T)タレク・ナズミ(B)フランツ・ウェルザー=メスト指揮クリーヴランド管弦楽団,同合唱団
〈配信開始:2026年8月21日〉
[The Cleveland Orchestra]
原題:Verdi: Requiem
ブルックナー:交響曲第7番(室内楽版)
2021年ザルツブルク音楽祭でのライヴ音源。最近はブルックナー交響曲を室内楽版で演る試みが増えてきた。もとはシェーンベルク主宰の私的演奏協会のための編曲版で、大管弦楽で埋もれてしまいがちな楽曲の構造を生々しく聴かせる。それも本録音はルノー・カピュソンを筆頭に名手揃いだ。人間の深奥に向かっていく、親密さと壮大さが同居する名演である。

ブルックナー:交響曲第7番(室内楽版,H・アイスラー,E・シュタイン,C・ランクル編)
ルノー・カピュソン(vn)と仲間たち〔クリストフ・コンツ(vn)ジェラール・コーセ(va)ジュリア・ハーゲン(vc)アロイス・ポッシュ(cb)ダニエル・オッテンザマー(cl)ダヴィッド・ゲリエ(hrn)ギヨーム・ベロム(p)アデライド・フェリエール(vib)〕
〈配信開始:2026年8月21日〉
[Platoon]
原題:Capuçon & Friends – Bruckner: Symphony No. 7 in E Major (Chamber Version)
【関連音源情報】※新譜月評ページへのリンク
♪『R.シュトラウス:ヴァイオリン協奏曲,他』(ルノー・カピュソン(vn)ペトル・ポペルカ=ウィーンso,他)[グラモフォン]
パガニーニ:ヴァイオリン協奏曲第1番
2023年夏にスタジオ録音されたアルバム。13歳の時に初めて弾いたという《ヴァイオリン協奏曲第1番》に、手兵の楽団の弾き振りで臨んだジョシュア・ベル。カデンツァは彼自身の自作である。技巧性を際立たせた録音も多い同曲だが、ベルはモダニズム以前の演奏様式さえ思わせる、温かみのある音楽を響かせる。併録の《カンタービレ》も必聴だ。

パガニーニ:ヴァイオリン協奏曲第1番(ジョシュア・ベルによるカデンツア)
〔+カンタービレ ニ長調,ヴェニスの謝肉祭〕
ジョシュア・ベル(vn・指揮)アカデミー・オブ・セント・マーティン・イン・ザ・フィールズ
〈配信開始:2026年8月21日〉
[Sony Classical]
原題:Paganini
【関連音源情報】※新譜月評ページへのリンク
♪『R.シュトラウス:ヴァイオリン協奏曲,他』(ルノー・カピュソン(vn)ペトル・ポペルカ=ウィーンso,他)[グラモフォン]
ショスタコーヴィチ:交響曲第5番
2025年9月のライヴ録音。中国のオーケストラとしては史上初となるショスタコーヴィチの交響曲全曲録音プロジェクトの第1弾。作曲家生誕120年の今年2026年に始まり、楽団の設立150年の2029年に完結するという。同時に第7番~第9番もリリースされたが、これらは日本国外でのLP発売が発表されたので、本稿にはいれていない。

ショスタコーヴィチ:交響曲第5番
ロン・ユー指揮上海交響楽団
〈配信開始:2026年9月11日〉
[DG]
原題:Shostakovich: Symphony No. 5
疑いと驚嘆の詩篇
北欧を拠点とするヤンソンは、合唱の世界では比較的よく知られた作曲家。この盤に収められたのは合唱とサクソフォン四重奏のために書かれた作品群で、恐れや疑いから驚嘆、そして喜びへと至る人間の精神的旅路を描いている。また、ここで歌っている「VOCES8・スカラーズ・アンサンブル」はVOCES8主宰の研修プログラムの修了生で構成される団体である。

疑いと驚嘆の詩篇
〔モルテン・ヤンソン:疑念と驚嘆の詩篇,合唱指揮者の埋葬,主よ、我を導きたまえ,他〕
ラグナル・ブーリーン指揮VOCES8・スカラーズ・アンサンブル,ストックホルム・サクソフォン・クァルテット
〈配信開始:2026年9月11日〉
[VOCES8 Records]
原題:Jansson: Psalms of Doubt and Wonderment
モダン・イエスタデイズ
2023年3月のライヴ録音。大胆なほど自由な発想で収められたのは、どれもが合衆国の音楽シーンの「今」を体現するトラックだ。アカデミックな文脈に位置するカルロス・バンデラ、カルロス・シモンの最近作にはじまり、孤高のギタリスト、カーキ・キングが作ったアルバムの再構築に至る。表題作《モダン・イエスタデイズ》にはキング自身も参加した。

モダン・イエスタデイズ
〔カルロス・バンデラ:マテリア・プリマ,カルロス・シモン:運命が今や征服する,カーキ・キング(D.J.スパー編):モダン・イエスタデイズ〕
カーキ・キング(g)ダニエラ・カンディラーリ指揮アメリカン・コンポーザーズ・オーケストラ
〈配信開始:2026年9月18日〉
[Platoon]
原題:Modern Yesterdays
スぺシャル・オーディオで聴くマリア・カラス
永遠のディーヴァ、マリア・カラスがうたった珠玉のアリアをイマーシヴ・オーディオ(3Dオーディオ・空間オーディオ)むけの仕立てでリマスタリングした、没入型デジタル・アルバム。編集子はステレオのシステムでしか試せていないが、それでも凄まじい臨場感に包まれることができた。

スぺシャル・オーディオで聴くマリア・カラス
〔プッチーニ:歌劇《トスカ》~歌に生き、愛に生き,他〕
マリア・カラス(S)他
〈配信開始:2026年9月18日〉
[Warner Classics]
原題:Maria Callas in Spatial Audio
【補遺】定点観測! Apple Music Classical クラシックトップ10
※「クラシックトップ100」の上位10点。2026年9月25日調査
※配信限定ではないものも含みます
1位 シューベルト・トレジャーズ
ルドルフ・ブッフビンダー(p)
〈配信開始:2026年5月29日〉
[DG]
原題:Schubert: Treasures
■新譜月評はこちら
評者:喜多尾 道冬(ドイツ文学)
投稿:2026年7月15日
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2位 Hall of Mirrors
ミシュカ・ラシュディ・モーメン(p)
〈配信開始:2026年9月11日〉
[Hyperion]
原題:(掲題と同じ)
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3位 J.S. バッハ:ゴルトベルク変奏曲
イム・ユンチャン(p)
〈配信開始:2026年2月6日〉
[Decca]
原題:J.S. Bach: Goldberg Variations (Live at Carnegie Hall, New York, 2025)
■新譜月評はこちら
評者:長井 進之介(ピアニスト・音楽ライター)/広瀬 大介(音楽学)
投稿:2026年4月15日
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4位 Sleep
マックス・リヒター(p・他)
〈配信開始:2015年9月4日〉
[DG]
原題:(掲題と同じ)
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5位 ブラームス:ピアノ協奏曲第1番,6つのピアノ小品 op.118
フランチェスコ・ピエモンテージ(p)マンレート・ホーネック指揮ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団
〈配信開始:2026年9月11日〉
[PentaTone]
原題:Brahms: Piano Concerto No. 1 & Six Piano Pieces, Op. 118
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6位 ルナリス
ブルース・リウ(p)
〈配信開始:2026年8月7日〉
[DG]
原題:Lunaris
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7位 ヴェルディ
リセ・ダヴィッドセン(S)アポロ・ヴォイセズ(合唱),エドワード・ガードナー指揮ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団
〈配信開始:2026年9月11日〉
[Decca]
原題:Verdi
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8位 ショパン&フォーレ/ピアノ作品集
キム・セヒョン(p)
〈配信開始:2026年9月4日〉
[Warner Classics]
原題:Chopin & Fauré
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9位 ヴォーン=ウィリアムズ:海の交響曲,マコンキー:管弦楽のための夜想曲
マサバネ・セシリア・ラングワナシャ(S)ウィル・リヴァーマン(Br)サー・アントニオ・パッパーノ指揮ロンドン交響楽団,同合唱団(合唱指揮:マリアナ・ローザス)
〈配信開始:2026年9月11日〉
[LSO Live]
原題:Vaughan Williams: A Sea Symphony – Elizabeth Maconchy: Nocturne for Orchestra
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10位 ハイフェッツへのオマージュ
マリア・ドゥエニャス(vn)イタマール・ゴラン(p)グスターボ・ドゥダメル指揮シモン・ボリバル交響楽団
〈配信開始:2026年8月28日〉
[DG]
原題:Homage to Heifetz
