
創立100年を迎えたNHK交響楽団の歴史は、巨匠指揮者たちとの出会いの歴史でもあります。本連載では、N響の舞台を彩った名匠たちを各回一人ずつ取り上げ、その人物像、芸術の真価、そしてN響との代表的録音までを総覧。演奏会の記憶とディスクを結び付けながら、日本のクラシック音楽史の豊かな系譜を読み解いていきます。
[関連リンク]
・デュトワのNHK交響楽団演奏記録(NHK交響楽団「演奏記録アーカイブ」より)
・NHK交響楽団トップページ
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Text=広瀬 大介(音楽学)
シャルル・デュトワ(1936~)

N響初登場時からさっそく多彩なプログラムを展開
前回、筆者はサヴァリッシュについて執筆した際、N響が1960年代以降、1996年にシャルル・デュトワを迎えるまでの間、常任の指揮者をいっさい置かなかった、と記した。今回、その常任指揮者となったデュトワを採り上げるにあたっては、就任した1996年から話を始めるのが筋なのだろうが、まずはその初登場、9年ほどさかのぼりたい。
デュトワがN響の指揮台に初めて立ったのは、1987年9月4日、サントリーホールでのことである。「NHK交響楽団シリーズ’87/都市と音楽IV パリ1913年」と題された一夜で、曲目はドビュッシー《遊戯》、ラヴェル《ダフニスとクロエ》第2組曲、そしてストラヴィンスキー《春の祭典》。いずれも1913年前後のパリに生まれた3曲を並べたこの選曲は、いま振り返れば、その歴史的意義を感じさせるだけでなく、そこから始まるデュトワとN響の関係の予告篇のようにも見えてくる。けっしてひんぱんに演奏されるわけではない《遊戯》を敢えて入れていることも含めて、チャレンジ精神が伝わってこよう。
このとき、続けて指揮した定期3プログラムの演目を見れば、なおその傾向ははっきりするだろう。ベルリオーズ《ファウストの劫罰》、リヒャルト・シュトラウス《ドン・ファン》、リムスキー=コルサコフ《シェエラザード》とサン=サーンス《交響曲第3番》。これ以降、デュトワとN響が「勝負」をかける際には、ここに挙がった作曲家の作品が数多く登場することになる。

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