モーリス・ラヴェル
Maurice Ravel
(1875–1937)
フランスとスペインの国境に位置する、バスクの作曲家。精緻なオーケストレーションと明晰な構造美により、独自の音楽言語を築いた。教科書的には「印象主義音楽」の代表格であるが、自身はそのレッテル貼りを好まなかった。代表作に《ボレロ》《ダフニスとクロエ》などがある。ピアノ曲や室内楽の分野でも高い業績を残し、音楽の伝統と革新を融合させ、20世紀音楽の礎を築いたことも特筆されよう。その理知と感覚を兼ね備えた作風は、多くの音楽家に影響を与えている。(編集部)
代表曲
《亡き王女のためのパヴァーヌ》
1899年作曲のピアノ曲。在りし日のスペイン宮廷への憧れを描き、後に管弦楽版も編まれた。気品ある旋律と繊細な響きが美しい。
《ダフニスとクロエ》
1909~12年作曲のバレエ音楽。古代ギリシャの恋物語を描いた。色彩豊かな管弦楽法と幻想的な「夜明け」の場面が聴きどころ。
《ボレロ》
1928年作曲のバレエ音楽。舞踊家イダ・ルビンシュタインの依頼で書かれた。同じ旋律が壮大なクライマックスへ発展する構成が魅力。
必聴名盤

ラヴェル/ピアノ曲全集
サンソン・フランソワ(p)
〈録音:1967年3月~7月〉[ワーナー・クラシックス]
[詳細はこちら]※「不滅の名盤」のページ
ラヴェルの音楽世界には、実に多くのアプローチの仕方がある。その中で際立つのが、サンソン・フランソワのピアニズムである。フランソワの演奏は、音楽の自発性を遮らず、優れたテクニックで自然に立ち昇らせる。そこに音響の立体性や空気の動きまでもが感じられるし……
———野平多美(作曲・音楽評論)

