
マーラー:交響曲第2番《復活》
パーヴォ・ヤルヴィ指揮チューリヒ・トーンハレo,チューリヒ・ジングアカデミー,マリ・エリクスモエン(S)アンナ・ルチア・リヒター(Ms)
〈録音:2025年11月〉
[アルファ(D)NYCX10626]
10月30日 発売予定
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文=広瀬 大介(音楽学)
作品の本来の姿を、ドラマティックにスタイリッシュに提示
パーヴォ・ヤルヴィとチューリヒ・トーンハレ管が2024年から進めているマーラーの交響曲ツィクルス。今回登場する第2番は、第5番、第1番、第7番に続く第4弾となる(2025年11月12日から14日にかけての定期公演のライヴ録音)。
ヤルヴィにとって、《復活》は2度目の録音となる。前回は2009年5月、フランクフルト放送交響楽団との共演だった。いっぽうトーンハレ管にとっては、デイヴィッド・ジンマンとの全集(第2番は2006年2月録音)以来、20年ぶりの再録音となる。4年間の改修を経たトーンハレの再開は2021年9月、その杮落としがヤルヴィ指揮のマーラー《第3番》だった。改修後の新しいトーンハレの響きを伝えるべく、マーラーを録り直すという意図が、このツィクルスの前提にあるとも考えられよう。
合唱は2011年創設のチューリヒ・ジングアカデミー。室内合唱団として、本作に求められるあらゆるニュアンスを即座に反映できる小回りのよさが、パーヴォの機能的な音楽性とうまく響き合う。〈原光〉を歌うアンナ・ルチア・リヒターは、直近では東京交響楽団でのバッハ《マタイ受難曲》(2025年9月)に出演。2020年春にソプラノからメゾ・ソプラノへ転じており、深みがいよいよ増している。ソプラノ独唱のマリ・エリクスモエンは1983年、ノルウェー生まれ。2025年4月に札幌交響楽団とも本作で共演しており、その安定した高音はこの録音に清澄な響きをもたらしている。
今年は録音、実演を含め、あまたの《復活》に接し続けた。ドラマ的・オペラ的な表現要素をふんだんに含み、標題性も無視できない本作だけに、多くの聴き手にとっても、オーケストラと指揮者の個性の違いは、いっそう強く感じられたのではなかろうか。楽譜に書かれた音楽をスタイリッシュに、最高の響きで届けようとするパーヴォのアプローチもまた、作品そのものの姿に接したいとおもう聴き手にこそうってつけであろう。様々な演奏に巡り会ったあとでもなお、パーヴォのアプローチはあらためて新鮮に感じられた。 同時に2枚組180g重量盤のLPも発売。ツィクルスは2026/27シーズンも続き、全集としての完成へ向けて、両者はなおゆったりと歩みつづける。
協力:ナクソス・ジャパン
