山之内正が聴く、最新 高音質リマスター盤6タイトル

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マルチトラックからの新規ミックス、最新技術によるアナログ・マスターへの再接近――過去の名録音を新たな音で聴き直す機会が増えている。今回はオーディオ評論家の山之内正氏が新譜6タイトルを旧盤や配信音源と比較試聴。ダイナミック・レンジ、音色、空間表現がどう変わるのかレビューする。(聞き手・構成=編集部)

ショルティの《アルプス交響曲》

R.シュトラウス:アルプス交響曲

ゲオルグ・ショルティ指揮バイエルン放送so
〈録音:1979 年9月〉
[Decca(S)4871604(海外盤)]LP

楽器の配置、奥行き、空間性が浮かび上がる

――まず、ショルティ指揮バイエルン放送響の《アルプス交響曲》。新盤のDecca「Pure Analogue」LP[4871604]を、1980年にキングから発売されたロンドン盤LP[K28C-1]と比較しました。

山之内 制作途中に介在するものを減らし、オリジナルに近い音をカッティングする効果がよく表れた盤だと思います。旧盤も密度が高く、十分にいい音でした。ところが新盤に替えると、最初は音圧が少し低いのに、ピークではむしろ大きく鳴る。弱音から強音までの幅が広いんです。アナログ・マスターにはこれだけのダイナミック・レンジが入っていたのかと改めて感じました。
 とりわけコントラバスの刻みが俊敏で、音型やリズムの動きが明瞭です。楽器の配置、奥行き、ミュンヘンのヘルクレスザールの広い空間も自然に浮かび上がる。この曲は情景描写が重要ですから、細かな要素が聞こえるほど面白さも深まります。1979年、デジタル移行直前の録音ですが、むしろアナログ録音の円熟を感じますね。ショルティらしい切れ味と運動性も鮮烈です。

【山之内氏による音質評価】
・復刻の自然さ    ★★★★☆ 4
・情報量・解像感   ★★★☆☆ 3
・音場・ダイナミクス ★★★★☆ 4

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