“レコ芸的”クラシック音楽入門

同じ曲なのにここまで違う 6人が語る同曲異演の楽しみ【後編/ベートーヴェン《第九》】

"レコ芸的"クラシック音楽入門特別企画
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後編はベートーヴェンの交響曲第9番《合唱》。ピリオド楽器から1950年代の歴史的録音、現代のモダン・オーケストラまで、選択はきれいに分かれた。ベートーヴェンの交響曲は、各時代の演奏様式を映す鏡でもある。話題は各盤の個性にとどまらず、巨大でどこか「壊れた」作品をどうまとめるか、そして録音が実演とは異なる真実をどう作るかへ広がっていった。

【前編/チャイコフスキー《悲愴》はこちら】

座談会出席者=山崎浩太郎、編集A・B・C・D・E

サバール/ル・コンセール・デ・ナシオン
――ピリオド楽器の限界を超える最先端

〔+ベートーヴェン:交響曲第6番《田園》,同第7番,同第8番〕
ジョルディ・サバール指揮ル・コンセール・デ・ナシオン,ラ・カペラ・ナシオナル・デ・カタルーニャ,サラ・グジ(S)ライラ・サロメ・フィッシャー(A)ミン・ジ・レイ(T)マヌエル・ヴァルサー(Bs)
〈録音:2021年9~10月〉
[Alia Vox(D)AVSA9946(3枚組)]※海外盤

山崎 私はサバールとル・コンセール・デ・ナシオンの2021年盤を選びました。吉田秀和さんがどこかで書かれていましたが、ベートーヴェンの交響曲には各時代の演奏スタイルが典型的に現れる、と指摘していました。ピリオド楽器演奏が広がった後に振り返ると、本当に的確な言葉です。かつて後期作品をピリオド楽器で演奏すると、楽器の限界そのものがベートーヴェンの先進性を示していました。「できないことまで書いてしまった」凄さが聞こえたわけです。

A それがサバール盤では変わっている。

山崎 21世紀になって奏法の水準が上がり、限界をあまり感じさせなくなった。ガット弦と小編成ならではの透明な美しさが前面に出ます。それに、《第九》は音が複雑に絡み合い、整理し切れない箇所があるでしょう。サバールは、そのごちゃごちゃを消すのではなく、面白く聴かせる。“いまの《第九》”を感じさせる演奏です。

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