Glaux Records(グラウクス・レコーズ)
佐藤俊介が参加したブラームスも話題の
「フクロウ」の名を冠する新進古楽レーベルの世界

最新盤レビュー
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スライド_glaux records_3
レーベルのロゴ(中央)と既発盤ジャケット

文=寺西 肇 (音楽ジャーナリスト)

異彩を放つレーベルを貫く、3つの軸

古楽ファンにとって、要注目のレーベルが始動した。オランダの「Glaux Records(グラウクス・レコーズ)」。ピリオド楽器アンサンブル「スティーレ・ガランテ」を率いる、指揮者で音楽学者のステーファノ・アレージと、同アンサンブルのメンバーで、オランダ・バッハ協会やコンチェルト・ケルンなどでも活躍する鍵盤奏者のアンドレア・フリッジが創設した。これまでに5タイトルを発表。いずれも演奏の質の高さはもちろん、視点の斬新さや、時にヘヴィメタルともクロスオーバーする自在さで異彩を放つ。そして、新たに発表されたのが、佐藤俊介をフィーチャーしてのブラームスの《ヴァイオリン協奏曲》と、《交響曲第4番》。19世紀のピリオド楽器を用い、当時の演奏習慣を徹底的に掘り下げた、ぜひご体感いただきたい一枚だ。

レーベル第1弾『パオロ・ロッリ/カンツォネッタ集(1727)』の予告編映像(Glaux Records公式YouTube)

特に18世紀イタリアの埋もれた声楽作品の蘇演に力を注ぐアレージは、アーティスティック・ディレクターとして、学術的な面を監修。一方のフリッジは、テクニカル・ディレクターとして、理想の音質を追究している。レーベル名は、古代ギリシャの女神アテーナーの使いとされるフクロウ=glauxに由来。この言葉はまた、明晰さや学識、洞察力の象徴である女神の輝く瞳の色彩をも意味する。「我々にとって、この名は、思慮深く、注意深く、常に知識と対話を重ねるという音楽へのアプローチの在り方を反映している」。録音のラインナップは、

未知の楽曲に光を当てると同時に、有名曲を洗練された解釈で提示する

数世紀にわたる、鍵盤作品の豊かさを探求する

芸術音楽が民俗の伝統と交わり、予期せぬ美しさを生み出した瞬間に目を向ける

という3つの軸に沿って展開されている。

Glaux Records
2026年9月までのラインナップ

※『ブラームス:ヴァイオリン協奏曲,交響曲第4番』[GL006S]を除く5点はいずれも海外盤CD
※また今後は、ラモローサ・カッチャによる「カベソン作品集」とジャンルカ・カシオーリによる「ベートーヴェン作品集」が2026年11月に日本でも発売予定である

♪「Glaux Records」公式ページ(英語)
♪東京エムプラスの「Glaux Records」紹介ページ(日本語)

1 パオロ・ロッリ/カンツォネッタ集(1727)

ステーファノ・アレージ指揮スティーレ・ガランテ,他
[規格番号:GL001]

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2 ファリーナ:ヴィーナスとマルス~17世紀ナポリの対話

サムエル・ラストルッチ指揮イ・ムジチ・デル・グラン・プリンチーペ,他
[GL002]

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3 北欧の歌と踊り

ルチアーナ・マンチーニ(vo)他
[GL003]

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4 ハッセ:チェンバロ・ソナタ集 Op.7(ジョン・ウォルシュ版)

アンドレア・フリッジ(cemb)
[GL004]

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5 メタモルフォーゼン ~記憶、痕跡、再生

ルカ・クインタヴァッレ(cemb)他
[GL005]

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6 ブラームス:ヴァイオリン協奏曲*,交響曲第4番 ※日本語解説付き

佐藤俊介*(vn)ヨハネス・レールタウヴェル指揮ニュー・フィルハーモニー・ユトレヒト
[GL006S]

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最新盤は、“必然”に満ちたブラームス!

ディスク情報

ブラームス:ヴァイオリン協奏曲*,交響曲第4番

佐藤俊介*(vn)ヨハネス・レールタウヴェル指揮ニュー・フィルハーモニー・ユトレヒト
〈録音:2022年9月〉
[グラウクス・レコーズ(D)GL006S]

※2026年9月15日頃より発売中

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そして、このほどリリースされたのが、オランダの指揮者で、研究者でもあるヨハネス・レールタウヴェルと、ニュー・フィルハーモニー・ユトレヒトによる「ピリオド楽器によるブラームス管弦楽作品全集」の第1弾。特にブラームスに関して、作曲者が生きた19世紀の演奏慣習に関する研究に力を注いできたレールタウヴェルにとって、その結果を「実践」の形で世に問う機会でもある。ピュア・ガットとレア・ヴィブラートから生まれる、弦楽器群の清澄な響き。輝かし過ぎない19世紀の金管楽器群。そして、まろやかな木管楽器の音色……。さらに、盛期ロマン派に特有の上品なポルタメント(《交響曲第4番》冒頭の浮遊感たるや、衝撃的ですらある)と自然なテンポ・ルバート、細やかなアーティキュレーション……その全てが融和して、えもいわれぬ滋味を創出し、「ピリオド楽器・奏法でる」ことの“必然”を強く印象づける。協奏曲のソリストに、キャリアの最初期から「19世紀のピリオド奏法によるブラームス演奏」を目標のひとつに掲げていた佐藤を迎えたのも、また然り。しなやかな快演は「有名曲を洗練された解釈で提示する」とのレーベルの主要コンセプトのひとつを、見事に体現している。

協力:東京エムプラス

関連コンサート情報

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2026年9月26日(土)15:00開演 神戸朝日ホール(兵庫)【詳細はこちら】※完売

曲目:
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出演:
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