
ファリャ生誕150年&没後80年、ロドリーゴ生誕125年を迎えることし2026年、「レコード芸術ONLINE」では、この2人の作曲家を中心に、スペインのクラシック音楽を深めます。
今回の記事は、ファリャ&ロドリーゴ入門! それぞれ6作品ずつの名曲紹介に加えて、最近リリースされたおすすめディスク(一部配信限定)をピックアップ、編集部員がご紹介します。
Text=編集部 (H.H.)
マヌエル・デ・ファリャ
Manuel de Falla(1876~1946)
人物紹介
マヌエル・デ・ファリャは、1876年11月23日、スペイン南部アンダルシア地方のカディスに生まれた。幼い頃から音楽に親しみ、マドリード音楽院で本格的に作曲を学んだ。師ペドレルの影響を受け、スペイン各地の民謡や舞曲を生かした作品づくりを志すようになる。
その後フランス・パリでドビュッシーやラヴェルらと交流し、スペイン国民楽派や印象主義、新古典主義を融合させた独自の作風を築いた。とりわけ《恋は魔術師》や《三角帽子》は、情熱的なリズムや鮮やかな色彩感で知られ、スペイン近代音楽を代表する名作となっている。スペイン内戦後はアルゼンチンへ渡り、1946年11月14日に同国アルタ・グラシアで逝去した。
今日では、伝統的な音楽と20世紀の新しい表現を見事に結び付けた、スペインを代表する作曲家の一人として世界中で親しまれている。
名曲紹介①
歌劇《はかなき人生》(1904~05)
ファリャが国際的な評価を得る第一歩となった最初の代表作。身分違いの恋に翻弄されるヒターノの娘サルーの悲劇を描いた歌劇で、スペイン民俗音楽の情熱とオーケストラの繊細な響きが美しく調和している。舞台上で歌や踊りが繰り広げられるフラメンコの場面も印象的。スペイン・オペラを代表する作品として現在も親しまれている。
おすすめディスク

ファリャ:歌劇《はかなき人生》(全曲)
ナンシー・ファビオラ・エレーラ(Ms:サルー)アキレス・マチャド(T:パコ)ファンホ・メナ指揮BBCフィルハーモニック,スペイン国営放送(RTVE)交響合唱団,他
〈録音:2018年6月〉
[Chandos(D)CHAN20032(海外盤)]CD
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メナがBBCフィル首席指揮者任期の千穐楽に取り組み、その直後にセッション録音された《はかなき人生》。声楽陣ひとつとっても、(なんと合唱団も含めて)全てスペインからUKへ呼び集めた気合の入りようである。
名曲紹介②
交響的印象《スペインの庭の夜》(1911~15)
ピアノとオーケストラのための作品で、噴水のある庭園の夜景や、月明かりなどの幻想を描いた「音の絵画」のような一曲である。華やかな技巧を聴かせる協奏曲とは異なり、ピアノもオーケストラの一員となって繊細な情景を描き出す。アンダルシアの薫り漂う旋律と色彩豊かな響きが魅力で、静かに移り変わる夜の情景を味わうように耳を傾けたい。
おすすめディスク

ファリャ/作品集
〔ファリャ:交響的印象《スペインの庭の夜》,バレエ音楽《三角帽子》(全曲),同《恋は魔術師》~火祭りの踊り,歌劇《はかなき人生》~間奏曲とスペイン舞曲〕
児玉麻里(p)ソフィー・ハームセン(Ms)山田和樹指揮スイス・ロマンド管弦楽団
〈録音:2016年7月〉
[PentaTone Classics(D)PTC5186598(海外盤)]SACDハイブリッド
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スイス・ロマンド管のファリャといえばアンセルメ。その時代は終わった。ヤマカズが指揮を務め、《スペインの庭の夜》のピアノは児玉麻里。色彩豊かな情景が広がる新時代の名盤である。
名曲紹介③
ベティカ幻想曲(1919)
古代には「ベティカ」と呼ばれていた、スペイン南部アンダルシアに由来するピアノ独奏曲。力強いリズムや華やかな装飾音にはフラメンコの影響が色濃く表れており、高度な技巧が要求されることでも知られる。ファリャらしい民俗色と近代的なリズム感が見事に融合した、20世紀スペイン・ピアノ音楽の傑作の一つである。
おすすめディスク

新世界~モンポウ&ベルク,ファリャ,バルトーク/ピアノ作品集
〔モンポウ:ショパンの主題による変奏曲,ベルク:ピアノ・ソナタ第1番,ファリャ:ベティカ幻想曲,バルトーク:ピアノ・ソナタ〕
ハビエル・ラソ(p)
〈録音:2022年7月〉
[Eudora(D)EUDSACD2402(海外盤)]SACDハイブリッド
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ハビエル・ラソによるコンセプト・アルバム。同時代を生きながら一見無関係なモンポウ、ベルク、ファリャ、バルトークの4つの世界を結び、その新鮮さを生き生きと聴かせる。
名曲紹介④
バレエ音楽《三角帽子》(1919)
セルゲイ・ディアギレフ率いるバレエ・リュスのために作曲され、舞台美術をパブロ・ピカソが手がけたことでも知られる名作。村の粉屋夫婦と代官が繰り広げるユーモラスな物語を、躍動感あふれるスペイン舞曲で彩る。ファンダンゴやホタなど各地の舞曲が盛り込まれ、ファリャの代表作として世界中で愛奏されている。
おすすめディスク

ファリャ:バレエ音楽《三角帽子》,同《恋は魔術師》
パブロ・エラス=カサド指揮マーラー・チェンバー・オーケストラ,カルメン・ロメウ(Ms)マリーナ・エレディア(カンタオーラ)
〈録音:2019年4月〉
[Harmonia Mundi(D)HMM902271(海外盤)]CD
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ファリャが過ごした街、スペイン・グラナダ出身のエラス=カサドが室内オケで臨んだもの。明晰なサウンドと鮮烈なリズムが、いちど聴いたら忘れられない印象を残す必聴盤である。2020年度第58回レコード・アカデミー賞では、大賞銅賞・管弦楽曲部門を受賞した。
仙台フィルハーモニー管弦楽団 第395回定期演奏会
2026年11月20日(金)19:00開演 日立システムズホール仙台 コンサートホール(宮城)
2026年11月21日(土)15:00開演 同上
[出演]
・シモーネ・メネセス指揮仙台フィルハーモニー管弦楽団
[主な曲目]
・ファリャ:バレエ音楽《三角帽子》第1組曲,同第2組曲
【詳細はこちら】(仙台フィルのページ)
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NHK交響楽団 第2077回定期公演 Aプログラム〈N響100年特別企画〉
2026年11月28日(土)18:00開演 NHKホール(東京)
2026年11月29日(日)14:00開演 同上
[出演]
・マルタ・アルゲリッチ(p)シャルル・デュトワ指揮NHK交響楽団
[主な曲目]
・ファリャ:バレエ組曲《三角帽子》第2番
【詳細はこちら】(28日の公演。NHK響のページ)
名曲紹介⑤
バレエ音楽《恋は魔術師》(1925)
若い女性カンデーラが亡き恋人の亡霊から逃れ、新たな愛を見つけるまでを描く幻想的なバレエ音楽。なかでも〈火祭りの踊り〉は単独でも演奏される人気曲で、激しいリズムと情熱的な盛り上がりが聴きどころである。フラメンコの力強さと神秘的な雰囲気が融け合った、スペイン音楽を代表する傑作の一つ。
おすすめディスク

魂と炎
〔ファリャ:バレエ音楽《恋は魔術師》,スペインの庭の夜,《三角帽子》第2組曲〕
パシオン・ベガ(vo)ハヴィエル・ペリアネス(p)グスターボ・ドゥダメル指揮ベネズエラ・シモン・ボリバル交響楽団
〈配信開始:2026年6月12日〉
[Platoon]配信限定
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作曲家ファリャ生誕150年、そしてエル・システマ設立50年を記念してリリースされる、夏の夜にぴったりなアルバム。〈火祭りの踊り〉のホルンにくらったあとは、ぐっすり眠れそうだ。
名曲紹介⑥
チェンバロ(クラヴサン)協奏曲(1923~26)
20世紀にチェンバロを独奏楽器として復活させた先駆的な作品。古い時代の楽器を用いながら、響きはスタイリッシュで、ファリャ晩年の引き締まった作風がよく表れている。バロック音楽への敬意と20世紀ならではの鋭利な感覚が共存しており、新古典主義音楽を代表する作品として高く評価されている。
おすすめディスク

クラヴサンXX~20世紀のクラヴサン作品集
〔ファリャ:チェンバロ協奏曲,プーランク:田園のコンセール,フランセ:チェンバロ協奏曲,グレツキ:チェンバロと弦楽のための協奏曲,他〕
ジュスタン・テイラー(cemb)フィリップ・ベルノルド(fl)フィリベール・ペリーヌ(ob)フランソワ・ティソ(cl)ペルスヴァル・ジル(vn)アドリアン・ベロム(vc)クロエ・デュフレーヌ指揮フランス国立リール管弦楽団,他
〈録音:2022年9月,25年10月〉
[アルファ(D)NYCX10595]CD
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チェンバロをノスタルジックな遺物ではなく、モダンな楽器として捉えるジュスタン・テイラーによるチェンバロ・アルバム。そうした発想の源流は20世紀の作品たちにあったのだ!
バンジャマン・アラールと精鋭たち〈ファリャへのオマージュ~影響と創造の間~〉
2026年10月14日(水)19:00開演 浜離宮朝日ホール(東京)
[出演]
バンジャマン・アラール(cemb)他
[主な曲目]
・ファリャ:チェンバロ協奏曲
【詳細はこちら】(浜離宮朝日ホールのページ)
Column1
20世紀スペインのレジェンド指揮者、アルヘンタとホルダのデッカ録音集成BOXが登場

2026年5月、スペイン発の指揮者として国際的な評価を確立したふたり、アタウルフォ・アルヘンタ(1913~58)とエンリケ・ホルダ(1911~96)の録音集成BOXがデッカからリリースされた。どのトラックも必聴だが、両指揮者が、それぞれゴンサロ・ソリアーノとクリフォード・カーゾンをピアニストに迎えて吹き込んだ《スペインの庭の夜》が聴きくらべられるのも注目ポイントの一つだ。
◎ディスク情報
デッカ・マスターズ~アタウルフォ・アルヘンタ/エンリケ・ホルダ
〔ファリャ:スペインの庭の夜,バレエ音楽《三角帽子》第1組曲(抜粋),同第2組曲,バレエ組曲《恋は魔術師》,チェンバロ協奏曲,ロドリーゴ:アランフェス協奏曲,ある貴神のための幻想曲,他〕
ゴンサロ・ソリアーノ,クリフォード・カーゾン(p)ロベール・ヴェイロン=ラクロワ(cemb)ナルシソ・イエペス(g)アタウルフォ・アルヘンタ指揮スペイン国立管弦楽団,エンリケ・ホルダ指揮パリ音楽院管弦楽団,他多数
〈録音:1945年9月~58年5月〉
[Decca(M/S)4847819(20枚組,海外盤)]CD
ホアキン・ロドリーゴ
Joaquín Rodrigo(1901~99)
人物紹介
ホアキン・ロドリーゴは、1901年11月22日、スペイン東部の港町サグントに生まれた。3歳のときに悪性ジフテリアの後遺症で視力をほぼ喪失するが、音楽の才能に恵まれ、バレンシアで学んだのち、フランス・パリでデュカスに師事した。
伝統音楽への愛情と近代的な技法の洗練を結び付け、明るく透明感のある作品を多く作曲。自身はギターを演奏しなかったが、特に1939年に発表した《アランフェス協奏曲》はギターの魅力を世界中に広めた傑作として知られる。その後も生涯にわたり、新生粋主義 Neo-casticismoと称される親しみやすく気品ある作風を貫いた。1999年7月6日にマドリードで逝去する。
今日では20世紀スペイン音楽界の代表格として高く評価され、とりわけクラシック・ギターのレパートリーを大きく発展させた人物として、その作品は世界中で演奏され続けている。
名曲紹介①
アランフェス協奏曲(1939)
クラシック・ギター作品の中で最も有名な協奏曲の一つ。作曲背景には、スペイン内戦による祖国の荒廃と復興への祈り、そして子供の流産の哀しみと妻への慰めがあるとされる。夫婦が新婚旅行で訪れた場所でもあるアランフェスの庭園や自然を題材とし、優雅で詩情豊かな音楽が広がる。とりわけ第2楽章の切なく美しい旋律は世界中で愛され、ジャズなどの世界でもたびたび用いられてきた。ギターの魅力を広く知らしめた歴史的な名作である。
おすすめディスク

アランフェス
〔ロドリーゴ:アランフェス協奏曲,タンスマン:王宮の音楽,デ・ラ・マーサ:サバテアード,他〕
ティボー・ガルシア(g)ベン・グラスバーグ指揮トゥールーズ・キャピトル国立管弦楽団
〈録音:2019年9月~20年2月〉
[エラート(D)WPCS13848]SACDハイブリッド
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《アランフェス協奏曲》の名盤は数多いが、ガルシア盤は新しいだけでなく、内容においても最高の賛辞を捧げるべきものの一つ。感傷に溺れず、技巧に走らず、しかし間違いなく《アランフェス》のイメージをアップデートしてくれるアルバムである。
仙台クラシックフェスティバル2026 前田妃奈・福田進一×仙台フィル〈スペインの風〉
2026年10月3日(土)14:15開演 仙台銀行ホール イズミティ21(宮城)
[出演]
・前田妃奈(vn)福田進一(g)太田弦指揮仙台フィルハーモニー管弦楽団
[主な曲目]
・ロドリーゴ:アランフェス協奏曲
【詳細はこちら】(仙台フィルのページ)
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広響名曲コンサート「音楽の花束」秋〈エキゾチック・オーケストラ~協奏曲&管弦楽曲フェイヴァリッツ〉
2026年10月31日(土)15:00開演 広島国際会議場フェニックスホール(広島)
[出演]
・ファブリス・ミリシェー(trb)大萩康司(g)ロマン・レシェキン指揮 広島交響楽団
[主な曲目]
・ロドリーゴ:アランフェス協奏曲
【詳細はこちら】(広島響のページ)
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NHK交響楽団 浦安特別公演2026
2026年11月3日(火)16:30開演 浦安市文化会館(千葉)
[出演]
・岡本拓也(g)阿部加奈子指揮 NHK交響楽団
[主な曲目]
・ロドリーゴ:アランフェス協奏曲
【詳細はこちら】(NHK響のページ)
名曲紹介②
アンダルシアの4つの版画(1946)
アンダルシア地方の風景や祭り、人々の暮らしを描いた4曲からなるピアノ組曲。それぞれが異なる風景や情景を描いていて、各曲には民俗舞曲を思わせるリズムや親しみやすい旋律が散りばめられている。気品ある書法と透明感のある響きも魅力である。なお、後に作曲者自身による管弦楽版も作られた。
おすすめディスク

内なる印象
〔モンポウ:内密な印象,チャイコフスキー:ドゥムカ,16の子供のための歌(フェインベルク編),雪娘(ジロティ編),ロドリーゴ:アンダルシアの4つの版画〕
リュドミラ・ゲオルギエフスカヤ(p)
〈録音:2024年12月〉
[Odradek Records(D)ODRCD465(海外盤)]
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ゲオルギエフスカヤのこのアルバムには、内省と憧憬の二つの軸がある。モンポウからロドリーゴに至るまで、作曲家がみた心象に潜り込んでいくような演奏が、聴き手にも沁み入る。
名曲紹介③
ソレリアーナ(1953)
フラメンコの代表的な歌の形式「ソレア」をもとに作曲された管弦楽曲。ゆったりとした旋律の中に情熱や哀愁が込められ、スペイン独特の空気が濃厚に感じられる。民俗音楽の要素をそのまま取り入れるのではなく、洗練された管弦楽作品へと高めたロドリーゴの作曲技法がよく表れている。
おすすめディスク

ソレリアーナ~ロドリーゴ/室内オーケストラ作品集
〔ソレリアーナ~抜粋,3つの伝統的舞曲の調べ,アンダルシアの2つの細密画,遥かなるサラバンドとビリャンシーコ〕
ジョアン・エンリク・リュナ指揮バレンシア管弦楽団
〈録音:2019年4月〉
[IBS Classical(D)IBS82020(海外盤)]CD
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室内オーケストラ作品は、ロドリーゴの膨大な作品群のなかでは地味だがどれも魅力的だ。このアルバムを聴けば、「新古典主義」作曲家としての彼の知られざる姿を発見できるだろう。
名曲紹介④
ある貴紳のための幻想曲(1954)
ギターとオーケストラのための作品で、《アランフェス協奏曲》と並ぶロドリーゴの代表作。17世紀スペインの作曲家ガスパル・サンスの舞曲をもとに、新しい音楽としてよみがえらせた。古い音楽の気品とギターの豊かな響きが調和し、軽やかで親しみやすい雰囲気を楽しめる作品である。
おすすめディスク

アランフェス
〔ロドリーゴ:アランフェス協奏曲,ある貴紳のための幻想曲,他〕
河野智美(g)八木大輔(p)梅田俊明指揮 東京フィルハーモニー交響楽団
〈録音:2020年1月29日(L:サントリーホール)〉
[アールアンフィニ(D)MECO1059]SACDハイブリッド
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絶賛の声が相次いだ公演の記録。《アランフェス》はもちろんのこと、河野は《幻想曲》に、特に深く魅了されてきたという。混迷を極める現代に響く、祈りと確信に満ちた決定盤だ。
名曲紹介⑤
祈りと踊り(1961)
マヌエル・デ・ファリャを偲んで作曲されたギター独奏曲。静かな祈りと情熱的な踊りが一つの作品の中で美しく対比され、敬愛する先達への深い思いが音楽に込められている。繊細で静謐な響きと力強い表現が交錯し、ロドリーゴの円熟した作風がよく表れた作品である。クラシック・ギターの重要なレパートリーとして現在も広く演奏されている。
おすすめディスク

ロドリーゴ/ギター独奏曲全集
〔祈りと踊り,3つのスペイン風小品,ギター讃歌,他多数〕
ジュリオ・タンパリーニ(g)
〈録音:2024年10月〉
[Brilliant Classics(D)BRL96624(2枚組,海外盤)]CD
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タレガなどの録音でも知られる名手タンパリーニが、満を持してリリースしたアルバム。美しくも演奏至難な作品群を高度な完成度で弾ききった、新時代の定盤である。
名曲紹介⑥
英雄的協奏曲(ピアノ協奏曲)(1942/96改訂)
ロドリーゴ唯一の、ピアノのための協奏曲。ギター作品ほど演奏機会は多くないが、「太陽の国」スペインを思わせる明るさと古典的な均整を兼ね備えた、4楽章からなる充実作で、作曲家が多分野で優れた作品を残したことを示す重要な一曲である。1996年にはピアニスト、ホアキン・アチュカロの手により《ピアノ協奏曲》としてロドリーゴ公認のもと改訂されている。
おすすめディスク

ロドリーゴ/作品集
〔ピアノ協奏曲(英雄的協奏曲の改訂版)*,遥か彼方を求めて,交響詩《青いユリのために》,管楽合奏のためのアダージョ〕
ホアキン・アチュカロ*(p)マヌエル・ガルドゥフ指揮バレンシア管弦楽団
〈録音:1996年7月〉
[ソニー・クラシカル(D)SRCR2219]CD ※現在取扱なし
「最新」というには旧いし現行盤でもないが、《ピアノ協奏曲》の方の重要録音。アチュカロは2001年11月25日、広島響の第214回定期演奏会でこの曲を日本初演している。指揮は秋山和慶で、12月1日には東京響でもアチュカロのピアノで演奏した。
大阪交響楽団 第292回定期演奏会〈英雄の夢~ラヴェル没後90年〉
2027年1月15日(金) 19:00開演 ザ・シンフォニーホール(大阪)
[出演]
・川口成彦(p)小林資典指揮 大阪交響楽団
[主な曲目]
・ロドリーゴ:弦楽のための‘‘アンダルシアの2つの細密画’’
・ロドリーゴ:英雄的協奏曲(日本初演)
【詳細はこちら】(大阪響のページ)
Column2
あわせて聴きたい、《アランフェス協奏曲》の名アレンジ2選


《アランフェス協奏曲》の緩徐楽章にあたる第2楽章は、その美しい旋律から、様々なアーティストに霊感を与え、また聴衆を魅了してきた。とくに注目すべき2つを紹介する。
マイルス・デイヴィスの1960年作『スケッチ・オブ・スペイン』の冒頭を飾る〈アランフェス協奏曲〉は、ギル・エヴァンスの編曲による16分超のトラックで、ジャズの枠組みを超えた「サード・ストリーム(第三の潮流)」の登場を高らかに宣言した。
もう1つ、押井守のアニメ映画『イノセンス』のエンディングでも使用された伊藤君子の〈Follow Me〉は第2楽章に歌詞を付け朗々と歌い上げたバラードで、初出時は日米で同時に発売され、一躍大ヒットとなった。映画版のサントラでは川井憲次によるアレンジが施されている。
◎ディスク情報
1 スケッチ・オブ・スペイン+3(ステレオ&モノラルW収録)
〔ロドリーゴ(ギル・エヴァンス編):アランフェス協奏曲,他〕
マイルス・デイヴィス(tp・フリューゲルホルン)ギル・エヴァンス(指揮)他
〈録音: 1959年11月,60年3月〉
[ソニー・ミュージック(M/S)SICJ30050(2枚組)]CD
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2 イノセンス オリジナル・サウンドトラック
〔follow me,傀儡謡_陽炎は黄泉に待たむと,他〕
伊藤君子(vo)西田和枝社中(民謡コーラス),他
〈制作:2004年〉
[flying DOG(D)VTCL60633]CD
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