旧『レコード芸術』誌の人気企画「リマスター鑑定団」が復活! “お気に入りの名盤を少しでも良い音で聴きたい”と集まった編集部有志とゲストが、リマスター盤を旧盤と比較して、侃々諤々好き放題に語り合います。
カラヤンのブルックナー/交響曲全集「ザ・オリジナル・ソース」LP
ブルックナー/交響曲全集
〔交響曲第1番~第9番〕
ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮ベルリンpo
〈収録:1975年~1981年〉
[DG (S)(D)4865436(17枚組海外盤:LPボックスセット)]
――今年はブルックナー生誕200年のアニバーサリーイヤーということで、新譜だけでなく高音質リイシュー盤もたくさん発売されました。今回はその中から編集部が4タイトルをピックアップして、過去に発売されたディスクとの比較試聴をしていきたいと思います。
まずは、ドイツ・グラモフォンの「ザ・オリジナル・ソース」シリーズから今年発売されたカラヤンのブルックナー/交響曲全集です。「ザ・オリジナル・ソース」シリーズは、オーディオマニアを中心に従来から大きく音質が変わったということでとても評判になっている高音質LPです。
本日はゲストに音楽評論家の芳岡正樹さんをお迎えしております。芳岡さんはCDはもちろんですが、SPレコードやLPレコードのコレクターでもあって、歴史的録音に関してはリマスター盤だけでなく、できる限り当時のフォーマットと再生装置でも追体験すべしとの考え方をお持ちです。カラヤンのLPレコードについても1970年代以降は発売当時にリアルタイムで接しておられます。
芳岡 カラヤンは戦前からブルックナーに熱心に取り組んでいましたが、交響曲全集としては、これが唯一のものです。4番~9番がアナログ録音、1~3番がデジタル録音になります。あるインタビューでカラヤンは、ブルックナーの交響曲は全曲が一つの脈動に貫かれているのだと語っていますが、この全集はかなりの年月を費やして録音されたにもかかわらず、カラヤンの意図した通り全9曲が統一感を持ったサウンドとして聴かれます。1番~3番は初期のデジタル録音なので高音質化するにも限度があるのですが、アナログ録音の4~9番は、今回、左右4chずつ計8chのオリジナルマスターテープまで遡って新たにミックスダウンし、見違えるような鮮度の高い音になっています。
――では、交響曲第4番《ロマンティック》(1975年録音)を試聴したいと思います。比較として、交響曲全集の国内盤初出LP(グラモフォン 00MG0401~11)を芳岡さんにお持ち頂きました。
芳岡 当時のグラモフォンはスタンパーをドイツから直接輸入して国内プレスしていたので、国内盤といえども海外盤との音質差は少ないと思います。
(交響曲第4番の第1楽章冒頭を試聴)
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