NHK交響楽団創立100年特別企画

N響に登場した巨匠指揮者列伝
第4回 ホルスト・シュタイン

N響に登場した巨匠指揮者列伝特別企画
この記事は約14分で読めます。

創立100年を迎えたNHK交響楽団の歴史は、巨匠指揮者たちとの出会いの歴史でもあります。本連載では、N響の舞台を彩った名匠たちを各回一人ずつ取り上げ、その人物像、芸術の真価、そしてN響との代表的録音までを総覧。演奏会の記憶とディスクを結び付けながら、日本のクラシック音楽史の豊かな系譜を読み解いていきます。

[関連リンク]
・シュタインのNHK交響楽団演奏記録(NHK交響楽団「演奏記録アーカイブ」より)
・NHK交響楽団トップページ

♪「N響に登場した巨匠指揮者列伝 第1回 ロヴロ・フォン・マタチッチ」はこちら(無料公開)

♪「N響に登場した巨匠指揮者列伝 第2回 オットマール・スウィトナー」はこちら

♪「N響に登場した巨匠指揮者列伝 第3回 ヴォルフガング・サヴァリッシュ」はこちら(無料公開)

♪「N響とベートーヴェン――録音でたどる名演の歴史」はこちら(無料公開)

Text=満津岡信育(音楽評論)

ホルスト・シュタイン(1928~2008)

写真提供:NHK交響楽団

インパクト十分。エネルギッシュな指揮ぶり

ホルスト・シュタインが、初めてN響の公演を指揮したのは、1973年2月5日のこと。その第595回定期公演Aプログラムでは、モーツァルトの交響曲第29番、R.シュトラウスの交響詩《ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら》、ワーグナーの《ニュルンベルクのマイスタージンガー》第3幕への前奏曲、《ジークフリート》~森のささやき、《神々のたそがれ》~ジークフリートのラインの旅、ジークフリートの葬送行進曲を指揮して、その実力が高く評価された。ここから1998年2月19日の第1345回定期公演Bプログラムに至るまで、四半世紀以上にわたる関係が続いたのであった。

ホルスト・シュタインの場合、指揮者としての音楽づくり云々以前に、その外見上の特質が際立っており、彼がN響に初登場した時期には、既にN響のテレビ放映を楽しみにしていた筆者は、「これはとんでもなく個性的な人が出てきたなあ」と感嘆したことをよく憶えている。長谷恭男『斜めから見たマエストロたち』[同成社、1990年刊]には、“大きな「おでこ」が印象的で愛敬のある笑顔が魅力的であり”と記されている。

シュタインは、エネルギッシュな指揮ぶりで、オーケストラをリードした。あまりに不注意なミスをすると、容赦なく叱責することもあり、佐野之彦『N響80年全記録』[文藝春秋、2007年刊]では、リハーサル中は“鬼将軍”と化すことがあったと記されているが、指揮台を離れると、その茶目っ気とユーモアに満ちあふれた性格で、N響の楽員の心をつかんだことが記載されている。1975年には再びN響を指揮して、同年3月にN響から名誉指揮者の称号を贈られ、1977年、1980年、81年、83年、84年、85年、87年、89年とN響を指揮し、1990年代に入ってからも、90年、92年、93年、95年、96年、98年にも指揮台にのぼり続けたのである。

このコンテンツの続きは、有料会員限定です。
※メルマガ登録のみの方も、ご閲覧には有料会員登録が必要です。

【有料会員登録して続きを読む】こちらよりお申込みください。
【ログインして続きを読む】下記よりログインをお願いいたします。

0
タイトルとURLをコピーしました