【連載】音符の向こう側/城所孝吉 第19回

音符の向こう側連載
この記事は約7分で読めます。

音楽評論家・城所孝吉氏の連載、第19回はR.シュトラウスの交響詩《英雄の生涯》を取り上げます。ほぼ同時期に書かれた交響詩《ドン・キホーテ》との共通点・対照性、またマーラー《交響曲第6番》との関連まで、世紀転換期のドイツ・オーストリア音楽の潮流における位置づけを考えていきます。

似ているが似ていない(?)双子の交響詩

リヒャルト・シュトラウスの《英雄の生涯》(1898年)と《ドン・キホーテ》(1897年)が、対を成すものとして書かれた、ということはよく言われる。両者は、同時期に作曲されただけでなく、英雄を主題とし、ヴァイオリン/ホルン、チェロ/ヴィオラという二つの楽器をソロとする。シュトラウス自身「《ドン・キホーテ》は、《英雄の生涯》と比較することで、完全に理解することができる」と言っており、関連性は疑いがない。

その際、両作において興味深いのは、《英雄の生涯》がソナタ形式で、《ドン・キホーテ》が変奏曲形式で書かれていることである。前者では、英雄は第1主題(〈英雄〉)で表現され、彼の敵である評論家たちは第2主題(〈英雄の敵〉)で音楽化される。そこに〈英雄の伴侶〉(=第3主題)が加わるが、展開部(〈英雄の戦場〉)では、第1主題と第2主題が熾烈な戦いを繰り広げる。やがて英雄は敵を打ち負かし(練習番号74)、第1主題が主調(変ホ長調)で再確立されて(同77)、再現部に突入。全曲は、第1主題がフォルティッシッシモで再度提示され、勝利が謳歌される練習番号79で頂点を迎える(バレンボイムの録音では、直前の属音に総譜にないティンパニのクレッシェンドを加え、緊張を極限まで高めている)。

ディスク情報

●R.シュトラウス:交響詩《英雄の生涯》(+4つの最後の歌)
■ダニエル・バレンボイム指揮ベルリン国立o(シュターツカペレ),ヴォルフラム・ブランドル(vn)アンナ・ネトレプコ(S)
〈録音:2014年8月(L)〉
[DG(D)UCCG1690]

【配信&CD販売サイトへのリンクはこちら

このコンテンツの続きは、有料会員限定です。
※メルマガ登録のみの方も、ご閲覧には有料会員登録が必要です。

【有料会員登録して続きを読む】こちらよりお申込みください。
【ログインして続きを読む】下記よりログインをお願いいたします。

0
タイトルとURLをコピーしました