アニバーサリー作曲家レコ芸アーカイブ
特捜プロジェクト・アニバーサリー作曲家 2005年⑪

ジョヴァンニ・バッティスタ・ヴィオッティ
(生誕250年)[2005年11月号掲載]

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文・安田和信(やすだ・かずのぶ)

桐朋学園大学准教授。同大学附属子供のための音楽教室鎌倉・横浜教室および富士教室室長。専門はW.A.モーツァルトを中心とした18世紀後半の西洋音楽史。『読売新聞』にてCD評、演奏会評を担当する。旧『レコード芸術』には1994年から執筆。

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Giovanni Battista Viotti 1755~1824

ジョヴァンニ・バッティスタ・ヴィオッティ(1755~1824)の、とくに前半生は18世紀後半におけるヴァイオリン奏者の、典型的な立身出世の道を辿った。その頂点は1780年代、パリでの活躍であるが、そこに至るまでのキャリアも順調そのもの、後年になってからの回想によると、ヴィオッティはヴァイオリンの師と呼びうる人物はガエターノ・プニャーニ(1731~98)しかいないと考えていた。1770年からトリノでヴィオッティを教えたプニャーニはコレッリの流れを汲むヴァイオリン奏者だった。そのプニャーニに見いだされたヴィオッティは1780年から師とともにドレスデン、ワルシャワ、サンクト・ペテルブルクなどを巡る「グランド・ツアー」へ旅立っている。当時のスター演奏家と一緒の旅程はまさに順風満帆だったに相違ない。この点で、母親と2人でパリまで旅行し、条件の良い就職先を見つけられずに故郷に戻った同世代のモーツァルトなどとは対照的である。

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