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今月号で取り上げる作曲家は、今年が生誕l00年のアニヴァーサリー・イヤーにあたるマーク・ブリッツスタインである。彼の場合、バーンスタインの評伝等に、必ず姿を見せるものの、こと日本ではその作曲作品が親しまれているとはお世辞にも書けないと思う。しかも、同性愛者であったブリッツスタインは、64年の冬に避寒のために訪れていたマルティニック島のフォール・ド・フランスのバーで3人の船乗りと痛飲し、その内のひとりを誘って路地裏ヘ連れ込んだ際に、残りのふたりも付いてきてしまい、よってたかって殴打され、400ドル入りの財布と身ぐるみを剥がれ、その際に受けた挫傷の内出血により亡くなってしまったのである。社会正義をテーマにした劇場作品を数多く残し、一時期はアメリカ共産党に人党していた人物の死に方としては、いかがなものか、という思いを抱くのは筆者だけではないだろう。ブリッツスタインには、モダニスト、コミュニスト、反ナチの愛国者、劇楊人など、さまざまな顔があり、どこに重きを置くかによって、その評価に大きな偏りが出てしまう点も、彼の立ち位置を微妙にしているのである。なにはともあれ、まずは彼の生涯を簡単に紹介することにしたい。
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