レコ芸アーカイブ

特捜プロジェクト・アニバーサリー作曲家2005
①アナトリ・リャードフ(生誕150年)
[2005年1月号掲載]

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文・満津岡信育(まつおか・のぶやす)

1959年東京都杉並区生まれ。音楽評論家。コピーライターを経て、40歳を目前にして名刺に音楽ライターと刷り込んで以来、音楽誌やCDのライナー・ノーツの執筆を中心に活動中。内外の音楽家へのインタビューも数多く手がけている。旧『レコード芸術』誌では、新譜月評で交響曲を担当。著書に『ON BOOKS advance もっときわめる! 1曲1冊シリーズ ② ストラヴィンスキー:《春の祭典》』(音楽之友社)がある。2016年からNHK-FMの『名演奏ライブラリー』で案内役を務めている。

今月号から当コーナーでは、2005年がアニヴァーサリー・イヤーにあたる作曲家の紹介を中心にお届けしていきます。筆者のほかにも、相場ひろ氏や増田良介氏をはじめ、さまざまな執筆者が、それぞれこだわりのある作曲家を担当する予定でいます。どうぞご期待ください。

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1回目に取り上げるのは、ロシアのペテルブルクで、1855年5月11日に生まれたアナトリ・リャードフである。こと日本では、かつてムラヴィンスキー指揮レニングラード・フィルによるグリンカの歌劇《ルスランとリュドミラ》序曲が収録されていた伝説的なLP盤に、《ババ・ヤガー》が入っていたこともあり、LP時代からの音楽ファンの場合、リャードフという作曲家の名前を見たことも聞いたこともないという人は、むしろ稀であるのではないだろうか。あるいは、ストラヴィンスキーのバレエ《火の鳥》のディスクを購入すると、ライナーノーツに、「ディアギレフは、当初、リャードフに作曲を依頼したが、進捗状況が芳しくないので、無名のストラヴィンスキーを起用した」といった内容が記載されていることだろう。したがって、リャードフというと、怠け者の作曲家というイメージを抱いている人もいらっしゃるに違いない。もちろん、リャードフ=怠け者というのは、まったくの間違いではないのだが、その59年の生涯に、作品番号にして70近くもの楽曲を残していることも忘れてはならないだろう。

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