構成・文・CDセレクト=芳岡正樹
過去71年分の旧『レコード芸術』誌には、来日した名演奏家たちの多くの貴重な写真が眠っています。当連載では、今から半世紀前(=1974年)前後の日本のクラシック界の活況を、それらの写真を通して振り返っています。第4回は1968年。この頃から、舞台写真だけでなく、記者会見や休日のオフショットなどのライブラリーがぐっと充実、素顔のアーティストたちの表情もお楽しみください。
1968年は明治100年にあたり、10月23日には日本政府主催の「明治百年記念式典」が日本武道館で開催され、文化庁芸術祭も「明治百年記念芸術祭」と銘打たれるなど、日本の近代化100年を評価する機運が高まった年であった。明治期に導入されたクラシック音楽も盛り上がりを見せ、オーケストラはロンドン交響楽団の来日中止があったものの(首席指揮者ケルテスが単身来日し、日本フィルを指揮)4月にクリップス指揮サンフランシスコ交響楽団(初来日)、5月にカイルベルトと岩城宏之指揮バンベルク交響楽団(初来日)。6月にスヴェトラーノフ、M.ショスタコーヴィチ指揮ソヴィエト国立交響楽団(4年ぶり2度目)、アンセルメ、クレツキ指揮スイス・ロマンド管弦楽団(初来日)、9月にハイティンク、ヨッフム指揮アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団(6年ぶり2度目)と5つのオーケストラが来日する盛況だった。
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