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文・谷口昭弘(たにぐち・あきひろ)
フェリス女学院大学グローバル教養学部心理コミュニケーション学科教授。富山県出身。東京学芸大学大学院にて修士号(教育)を取得後、2003年フロリダ州立大学にて博士号(音楽学)を取得。専門はアメリカのクラシック音楽で、博士論文のテーマは1930年代、アメリカのネットワーク・ラジオ放送によって委嘱された音楽作品。帰国後は専門を生かした音楽評論活動に従事し、『レコード芸術』や『音楽現代』に各種レビューを執筆。2016年4月から国立音楽大学非常勤講師。著書に『ディズニー・ミュージック ディズニー映画 音楽の秘密』(スタイルノート 2016) がある。
ニューヨーク楽派のひとり

モートン・フェルドマンが亡くなって20年とは、にわかには信じ難いことだ。おそらくそれは、静寂と長い演奏時間を要求する彼の音楽が、CDを通して次々とリスナーに届けられてきたからだろう。ただ、私がアメリカにいた1990年代、アカデミズムの世界では、フェルドマンについて語られることはほとんどなかった。97 年にカイル・ガンが『20世紀のアメリカ音楽』を出版し、認知度が若干高まったが、2000年にフェルドマンの著作集が発売され、「ようやくアメリカでも彼が知られるようになるのだろうか」と実感したのを覚えている。おそらく日本の方が、ヨーロッパ経由で、フェルドマンが知られていたように思う。
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