復刻!柴田南雄の名連載レコ芸アーカイブ
柴田南雄『新・レコードつれづれぐさ』 

第五回(1983年11月号)ヴァーグナー/楽劇「ジークフリート」

柴田南雄の名連載『新・レコードつれづれぐさ』第5回は、ヴァーグナー(ワーグナー)の大作、楽劇〈ジークフリート〉。取り上げているヤノフスキ指揮ドレスデン・シュターツカペレによる《ニーベルングの指環》全曲盤(ただし連載時点では、1980年から年一作順番通りに録音されていった当プロジェクトの完結篇〈神々の黄昏〉は未発売)は、1960年代のショルティ盤やカラヤン盤以来の久々のスタジオ全曲録音となった話題のリリースでした
※文中レコード番号・表記・事実関係などは連載当時のまま再録しています。

ただ今の一念、むなしく過ぐることを惜しむべし

マレク・ヤノフスキ指揮、ドレスデン・シュターツカペレの〈ジークフリート〉(デンオン-OX7246~50)を、数日かけて、まさに回顧的な、懐かしい気分の中できき通した。

われわれの世代は、よく言われるように、ヴァーグナー体験皆無のままで、ずっと近年まで来てしまった。戦前の日本でも〈ローエングリン〉や〈タンホイザー〉の上演はあるにはあった。しかし《指環》となると、上演などは無論のこと、SP時代のレコードでもワルター指揮の〈ヴァルキューレ〉の第1幕くらいがややまとまった唯一の録音で、あとは「ジークフリートの葬送行進曲」などのコンサート・ピースで片鱗を僅かに窺うしかなかった。

こちらの閲覧には有料会員へのご登録が必要となります。

有料会員登録がお済みの方は、Fujisan.co.jpにてお申込み頂いたアカウントにてログインをお願いします。

0
タイトルとURLをコピーしました