
ブルックナーの記念すべき生誕200周年=2024年には、さまざまな演奏・録音がリリース!
その11月末、音楽之友社本社。満津岡信育さん、広瀬大介さん、石原勇太郎さんにお集まりいただいた鼎談で、2023年秋~現在の、ブルックナーの主な新譜をふりかえりました。
ところどころに、お三方のブルックナー観も……。
そのまとめを、「交響曲全集」「交響曲単発」「交響曲の編曲/声楽曲・室内楽曲」「日本人演奏家・日本オケ」の四部作でお届けします。
第1回は交響曲全集の新譜についてです。

今日はお三方に、ブルックナーの新譜をふりかえっていただきます! よろしくお願いいたします。

私が司会を務めます。よろしくお願いします!

よろしくお願いします!

よろしくお願いします!

音楽評論家。1959年生まれ。音楽誌やCDのライナーノートの執筆を中心に活動し、インタビュー取材も数多く手がける。NHK-FMの『名演奏ライブラリー』で案内役を務めている。ブルックナーの好みは雑食系だが、日本に根強い(?)「テンポ揺らすべからず」の風潮には懐疑的。

音楽学者・音楽評論家。1973年生まれ。各種音楽媒体などへの寄稿のほか、曲目解説・ライナーノーツの執筆、オペラ公演・映像の字幕対訳を多数手がけている。ヴァント/北ドイツ放送so.の来日公演(2000年)での交響曲第9番を聴いて、ブルックナーに開眼。

音楽学者。1991年生まれ。専門はアントン・ブルックナーの交響曲に関する研究。2023年には自身の補筆したブルックナーの交響曲第9番第4楽章が初演、CD化もされた。注目の新刊『ブルックナーのしおり』著者。ブルックナーは手当たり次第に聴いてきた、ザ・雑食系。
交響曲全集① ウィーン・フィル、初の全集

まずは交響曲全集からいきたいと思います。クリスティアン・ティーレマン、レミ・バロー、マルクス・ポシュナーの3つ。発売された順で、まずはティーレマンから!
![[SICC-10437]ティーレマンの全集](https://recogei.ontomo-mag.com/wp-content/uploads/2024/12/bad31981c4e57a4457cf2d1bbbe79a0d.jpg)
〔交響曲 ヘ短調[原典版(新全集X 1973年出版)/ノーヴァク校訂]
交響曲 第1番 [1891年第2稿(ウィーン稿 新全集I/2 1980年出版)/ノーヴァク校訂]
交響曲 ニ短調「無効」[原典版(新全集XI 1968年出版)/ノーヴァク校訂]
交響曲 第2番[1877年第2稿(新全集新版II/2 2007年出版)/キャラガン校訂]
交響曲 第3番[1877年第2稿(新全集III/2 1981年出版)/ノーヴァク校訂]
交響曲 第4番「ロマンティック」[1878/80年稿(旧全集 Band 4 1936年出版)/ハース校訂]
交響曲 第5番[原典版(新全集V 1951年出版)/ノーヴァク校訂]
交響曲 第6番[原典版(新全集VI 1952年出版)/ノーヴァク校訂]
交響曲 第7番[原典版(旧全集 Band 7 1944年出版)/ハース校訂]
交響曲 第8番[1887/1890年第2稿(旧全集 Band 8 1939年出版)/ハース校訂]
交響曲 第9番[原典版(新全集IX 1951年出版)/ノーヴァク校訂]〕
クリスティアン・ティーレマン(指揮) ウィーンpo.
〈録音:2019年4月~2022年7月〉
[ソニークラシカル(D)SICC-10437 ~ SICC-10447(11枚組、SACD Hybrid)]

私の感覚からすると、かなり古いタイプの演奏です。ハース版をいくつか選んでいるのも、その印象を強めています。またティーレマンは呼吸感が独特で、聴いていて疲れる印象があります。

若い石原さんもやはり「古さ」を感じられるんですね。私も、ティーレマンの独特なアゴーギクの揺らし方はとても苦手で、ワーグナーのオペラなんかでやられると、ちょっとやめてくれって言いたくなるタイプなんです。ただこのブルックナー全集では、交響曲単位で好みが分かれると思いました。たとえば6番はどうでしょう。
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