
2026年6月13日に授賞式が行なわれた「MUSIC AWARDS JAPAN 2026(MAJ 2026)」は、日本の音楽業界主要5団体が設立したCEIPA(カルチャー アンド エンタテインメント産業振興会)による国際音楽賞です。「世界とつながり、音楽の未来を灯す。」をコンセプトに掲げ、音楽関係者約5,000人の投票によって受賞作が選出されました。
授賞式は東京・TOYOTA ARENA TOKYOを中心に行われ、NHKで生中継されるなど、日本版グラミー賞を志向する大規模な音楽アワードとして注目を集めました。2026年は全78部門で表彰が行われました。
【参照リンク】
・MUSIC AWARDS JAPAN 2026(公式トップページ)
主要6部門について
MAJの中心となる「主要6部門」の受賞結果は次の通りです。
最優秀楽曲賞:サカナクション《怪獣》
最優秀アーティスト賞:Mrs. GREEN APPLE
最優秀ニュー・アーティスト賞:HANA
最優秀アルバム賞:Fujii Kaze『Prema』
Best Global Hit from Japan:XG《HYPNOTIZE》
最優秀アジア楽曲賞:HUNTR/X《Golden》
なかでもサカナクションの《怪獣》は、ロック部門やアニメ楽曲部門など複数の賞も受賞し、2026年のMAJを象徴する作品となりました。
また、近年のMAJではポップス中心の賞だけでなく、クラシック、劇伴、ゲーム音楽などの分野も積極的に取り上げられています。
次記の『Joe Hisaishi Conducts』と『ばけばけ』の受賞は、その象徴的な事例と言えるでしょう。前者は「純音楽としてのクラシック」、後者は「映像と結びついた音楽」という異なる方向から、日本の音楽文化の厚みを示した受賞となったのです。
『Joe Hisaishi Conducts』

Joe Hisaishi Conducts
〔スティーヴ・ライヒ:砂漠の音楽,久石譲:The End of the World〕
久石譲指揮FUTURE ORCHESTRA CLASSICS,東京混声cho,エラ・テイラー(S)
〈録音:2024年7月,8月(いずれもL)〉
[DG(D)UMCK1790]CD
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クラシック分野で注目を集めたのが、久石譲の新譜『Joe Hisaishi Conducts』です。この作品はMAJ 2026の「最優秀クラシックアルバム賞」を受賞しました。
アルバムには、久石自身の大規模作品《The End of the World》と、スティーヴ・ライヒの《砂漠の音楽》が収録されています。
前者《The End of the World》は、21世紀初頭の国際情勢や文明への問いを背景に構想された作品で、祈りや鎮魂といったテーマを内包しています。久石が創作初期から影響を受け続けてきたミニマリズムの語法を基盤としながらも、反復の推進力だけに依存せず、交響曲やオラトリオに近いスケール感を獲得している点が特徴です。
後者《砂漠の音楽》は、ウィリアム・カーロス・ウィリアムズの詩を用いたライヒの代表的な大規模声楽作品であり、冷戦下の核不安や人類文明への問いを含む20世紀後半アメリカ音楽の重要作です。
久石は近年、自身の作品だけでなくライヒ作品の指揮にも力を入れており、このアルバムは「久石作品」と「ライヒ作品」を対置することで、自身の創作の源流を示すプログラムとしても読むことができます。
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『ばけばけ』の音楽



1 連続テレビ小説「ばけばけ」オリジナル・サウンドトラック Vol.1
〔牛尾憲輔:おもひで(オリジナル版),ちいさなしあわせ,日々是好日,ヘブン,他〕
牛尾憲輔(プログラミング)小林壱成,金子昌憲(vn)飯野和英(va)市寛也(vc)地代所悠(cb)他
〈制作:2025年〉
[ソニー・ミュージック(D)SICX30259]CD
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2 連続テレビ小説「ばけばけ」オリジナル・サウンドトラック Vol.2
〔牛尾憲輔:おもひで(弦楽五重奏版,管楽合奏版,他),覚悟,ランプの灯,他〕
牛尾憲輔(プログラミング)篠原悠那,石原悠企(vn)戸原直(va)広田勇樹(vc)瀬泰幸(cb)他
〈制作:2026年〉
[ソニー・ミュージック(D)SICX30263]CD
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3 連続テレビ小説 ばけばけ オリジナル・サウンドトラック Vol.3
〔牛尾憲輔:花田旅館,新しい家族,手にした幸せと,ふたりの散歩道〕
牛尾憲輔(プログラミング)栗原悠希(p)他
〈制作:2026年〉
[ソニー・ミュージック(D)SICX30270]CD
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一方、「最優秀劇中伴奏音楽賞(ドラマ)」を受賞したのが『ばけばけ』です。
NHK連続テレビ小説『ばけばけ』において、牛尾憲輔による音楽とサウンドデザインがドラマの世界観を深く支えたことが高く評価されました。この部門は、単独の音楽作品としての完成度だけでなく、「映像と音楽がどのように結びついているか」という点も重視されるものです。
『ばけばけ』の音楽は、怪異や民俗的想像力を扱うドラマの雰囲気を繊細に表現しつつ、朝ドラらしい親しみやすさも両立させている点が特徴です。劇伴音楽が作品の語りを支え、視聴者の記憶に強く残ったことが評価されました。
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連載|プレルーディウム 第17回 音楽の置きどころ
MAJ 2026では、サカナクションや藤井風らによるポピュラー音楽作品が主要部門を席巻する一方で、久石譲のクラシック作品や牛尾憲輔による劇伴音楽も高く評価されました。ジャンルを越えて多様な音楽文化を顕彰する姿勢は、MAJが掲げる「世界とつながり、音楽の未来を灯す。」という理念を体現するものと言えます。
執筆:レコード芸術ONLINE 編集部
