

▲①「1960年代のブリュンヒルデ」ビルギット・ニルソン(生誕100年記念の2018年にリリースされた81枚組Decca&DG録音全集BOX「La Nilsson」より),②「2026年のブリュンヒルデ」カミッラ・ニールンド(「トランスフィギュレーション~ニールンド、ワーグナー&シュトラウスを歌う」〈2010.9〉Ondine(D)ODE1168)
《ニーベルングの指環》初演150年&バイロイト祝祭創始150年に当たる今年、「レコード芸術ONLINE」では継続的にその関連特別企画を更新してきたが、いよいよ夏の音楽祭シーズンを前に、集中的にワーグナーに関する記事をお届けする。その第1弾として、ちょうど50年前のブーレーズ(指揮)・シェロー(演出)チームによる歴史的「バイロイト100周年リング」を、祝祭劇場で “目撃” した堀内修氏に、ワーグナー/バイロイトの華麗なるヒロインたち変転の歴史をひもといていただく。
文=堀内 修(音楽評論)
「バイロイトのブリュンヒルデ」はあざなえる縄の如し
2026年、創設150年のバイロイトのヒロインは、カミッラ・ニールンドになるはず。前年と同じく、ニールンドがブリュンヒルデを歌うからだ。150年前からバイロイトのヒロイン、そしてワーグナーのヒロインはブリュンヒルデを歌うソプラノか、さもなければイゾルデを歌うソプラノに決まっている。
もちろんその両方なら申し分ない。1960年代のビルギット・ニルソン(1918~2005)のように。ニルソンは君臨していた。《ワルキューレ》第2幕に槍を手にして登場し、「ホヨトホー」と声を上げるだけで、これが神性を持ったヴォータンの娘にして《指環》のヒロインなのだとわかったし、《トリスタンとイゾルデ》の幕が開いて苛立った声を上げただけで、高貴なアイルランドの王女だと体感できた。
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