HUMAN UNIVERSE<通常盤/北極星ヴァージョン>
〔角野隼斗:Human Universe,3つのノクターン,J.S.バッハ:主よ、人の望みの喜びよ,ショパン:夜想曲第13番ハ短調Op.48-1,ラヴェル:ボレロ,カプースチン:8つの演奏会用エチュード Op.40 より第 8 番 フィナーレ(ボーナストラック)他〕
角野隼斗(p)
〈録音:2024年1月,4月〉
[ソニーミュージック(D)SICC-30898]
HUMAN UNIVERSE [Blu-spec CD2+Blu-ray Disc]<初回生産限定盤/北斗七星ヴァージョン>
〔角野隼斗:Human Universe,3つのノクターン,J.S.バッハ:主よ、人の望みの喜びよ,ショパン:夜想曲第13番ハ短調Op.48-1,ラヴェル:ボレロ,スカルラッティ:ソナタ ニ短調 K.9 L.413(ボーナストラック),他〕
角野隼斗(p)
〈録音:2024年1月,4月〉
[ソニーミュージック(D)SICC-30896(1CD+1BD+フォトブック)]
HUMAN UNIVERSE<完全生産限定盤/コバルトブルー・ヴァイナル>
〔角野隼斗:Human Universe,3つのノクターン,J.S.バッハ:主よ、人の望みの喜びよ,ショパン:夜想曲第13番ハ短調Op.48-1,ラヴェル:ボレロ,ヘンデル:クラヴサン組曲第 2 集 第 1 番変ロ長調 HWV 434 よりメヌエット(ボーナストラック),他〕
角野隼斗(p)
〈録音:2024年1月,4月〉
[ソニーミュージック(D)SIJP-200(2LP+ブックレット+ポスター)]
3種の盤を往還しながら 見えない宇宙を想う
月や星々、その奥に広がる無限の宇宙は古代から人間の心を捉えて来た。古代ギリシャの哲学者ピタゴラスは〈天球の音楽〉という概念を唱え、日本には最古の物語とされる『竹取物語』がある。現代の都市は夜でも光に溢れ、見上げてもそこに広がる宇宙の大きさを感じることは最早できないが、実際にはその暗い空間に音楽が溢れているのかもしれない。そんなことを思わせてくれる新しいアルバムが角野隼斗の『Human Universe』だ。角野の全世界デビューアルバムで、録音はロンドン郊外のスタジオで行われた。
角野の多彩な活動を示すように、収録された作品にはクラシック音楽だけでなく、彼の自作も含まれている。それぞれの作品の音作りも非常に凝っており、J. S. バッハ《主よ、人の望みの喜びよ》でも、オリジナルの世界に角野らしい斬新なアイディアを加えており、その音作りの過程を想像しながら聴くのも楽しいアルバムとなっている。角野自作の中では世界各地を旅した体験から産まれた《NOCTURNEⅠ〜Ⅲ》が彼の音楽の繊細な感覚を伝えてくれる。また武道館のコンサートでも披露された2台のピアノを駆使するラヴェルの《ボレロ》も収録されており、2枚組盤のブルーレイ・ディスクに収録されたインタビューでは、その音の制作過程を知ることができる。
今回のリリースは贅沢で、CD1枚の通常盤、1CD+1BDディスクの2枚組盤、そして2枚組アナログ盤という3種類が並ぶ。基本的には16曲がアルバムの核だが、ボーナス・トラックが違っているなど、迷ってしまう方も多いかもしれない。2枚ともカラー・ディスク仕様のアナログ盤は、新世代のクールな音の世界を暖かみのある感覚の中で聴くという不思議な体験ができたし、手にした時の迫力ではやはり楽しい。2枚組盤には付くフォトブックにはレコーディング時のスタジオ風景も見ることができる。アナログとデジタルを行き来しながら、月の満ち欠けと自分の気分に合わせて聴いてみるのも面白いだろう。
片桐卓也 (音楽ライター)
協力:ソニーミュージック
※記事の内容に誤りがございましたので、一部修正をいたしました。ご指摘いただきました皆様に深謝申し上げるとともに、読者の皆様、ならびにご協力を賜ったソニーミュージック様に深くお詫び申し上げます。