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今年度の吹奏楽コンクール課題曲を
日本を代表するプロバンドで聴こう

ディスク情報

佼成ウインドLIVE~2025年度 全日本吹奏楽コンクール課題曲
〔杉山義隆:祝い唄と踊り唄による幻想曲(第34回朝日作曲賞受賞作品),後藤洋:ステップ、スキップ、ノンストップ(順次進行によるカプリッチョ),伊藤士恩:マーチ「メモリーズ・リフレイン」,大島ミチル:Rhapsody~Eclipse〕

大井剛史指揮東京佼成ウインドオーケストラ
〈録音:2025年3月27日(L)〉
[コロムビア(D)COCQ85633]

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模範演奏と違うライブ感が楽しい「音のドラマ」

日本の吹奏楽にとって「課題曲」はとても重要なもので、吹奏楽コンクールでは、毎年発表されるその年度の課題曲と自由曲を演奏することになっている。課題曲にはその年度を超えて演奏される名曲も多く、東京佼成ウインドオーケストラ(TKWO)はここ数年「課題曲コンサート」と題して、課題曲だけで構成したコンサートを開催し、好評を得ている。

今年も3月に行なわれた「課題曲コンサート」から、今年度の課題曲4曲を収録したミニアルバムが発売された。今年度は委嘱作品が2曲(後藤洋と大島ミチル)、公募入選作品が2曲(杉山義隆と伊藤士恩)という構成で、どの曲も聴き応えがあり、演奏時間4分前後の「音のドラマ」を味わえる。

それら4曲を「世界レベルの吹奏楽団」TKWOの演奏で聴くのは、コンクールに向けて練習している人たちだけでなく、音楽を愛する人すべてにとっても楽しいことだ。常任指揮者の大井剛史の指揮も、作品の本質を捉えたもので、ライブ独得のドライブ感もある。会場の拍手が入っているのも雰囲気たっぷりだ。

なお、コンクールの地方大会は今月末から順次開催され、地区大会、県大会、支部大会を経て、第73回全日本吹奏楽コンクール全国大会は中学生の部=10月18日(土)/高等学校の部=10月19日(日)宇都宮市文化会館、大学の部=10月25日(土)/職場・一般の部=10月26日(日)りゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館)で開催される。アマチュアのトップバンドが課題曲をどう演奏するのか、興味が尽きない。

文=北村洋介(音楽ライター)

協力:日本コロムビア

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