音楽評論家・舩木篤也氏の新連載がスタートしました。「プレルーディウム(Präludium)」はドイツ語で「前奏曲」の意味。毎回あるディスク(音源)を端緒として、ときに音楽の枠を超えて自由に思索を巡らせる、毎月1日更新の注目連載です。第1回は河村尚子の最新アルバム『20-Twenty-』を取り上げます。
ディスク情報
『20-Twenty-』
河村尚子(p)
[RCA(D)SICC19080]SACDハイブリッド
徳の指、機転の声
2023年7月号をもって休刊となっていた『レコード芸術』が、多くの読者・支援者の力を得て、ついに復刊する。私自身、存続を願う声を同志の執筆者たちと上げた立場から、とても嬉しく思っている。
もちろん、いっぽうで冷ややかな声があったことも承知している。窮地に立たせた非力なお前たちがどの口で言うかという批判もあった。無数の情報に誰もがアクセスできる時代なのだから、そもそも役目は終わっているとか、エラそうな教養主義はもう要らないとか、いまどき「レコード」だなんて、音源はもはや吟味選択して手に入れるものじゃない、とか。
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