女性作曲家に魅せられて連載
【連載】女性作曲家に魅せられて

第4回 マリー・ジャエルに魅せられて 生涯・作品編/小林緑

音楽評論家・谷戸基岩氏と音楽学者・小林緑氏によるリレー連載、第4回のテーマは、ピアニスト/作曲家のマリー・ジャエル(1846~1925)です。リストの高弟にして時代を先取りしすぎたその作品は、近年ようやくその一端が知られるようになったばかりです。今回も小林緑氏による「生涯・作品編」とディスクを通じてその魅力に迫る谷戸基岩氏による録音編を加えた2部構成でお届けします。

マリー・ジャエル、30歳の頃

マリー・ジャエルに魅せられて

 「もしも男の名前であったなら、あなた(ジャエル)の楽譜は世界中のピアノの上にあるに違いない」リストのものと伝えられるこの愚かしい発言を二度と繰り返させないためにも、女性作曲家が真っ当に評価される世の中を実現せねば……ジャエルの作品は聴けば聴くほどにその思いが強くなる。その桁外れの拡がりと深さは良きにつけ悪しきにつけ私に活力をもたらしてくれた。1年間の在外研究員の資格を得て私は1999~2000年にかけてパリに滞在しフランスの女性作曲家に関する情報収集に努めたが、中でも強く心惹かれた存在がポリーヌ・ヴィアルド、ルイーズ・ファランク、そしてマリー・ジャエルだった。2005年に「女性空間」という雑誌に「マリー・ジャエル:ピアニスト=作曲家から演奏哲学者への道」という小論文を発表したほどだった(その大部分の内容は2026年1月24日名古屋ハレ・ルンデでの「マリー・ジャエル没後100年記念コンサート」のプログラムに再掲)。

しかし真摯に向き合うと生半可な気持ちでは手に負えない存在だという事実を本稿執筆中に改めて思い知らされた。

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