復刻!柴田南雄の名連載レコ芸アーカイブ
柴田南雄『新・レコードつれづれぐさ』 

第十四回(1984年8月号)シューマン/交響曲第二番ほか

柴田南雄の名連載『新・レコードつれづれぐさ』第14回の主な話題は、指揮者ジュゼッペ・シノーポリ。世代の新しさを覚える(柴田は1916年生れで、シノーポリは46年生れ)その諸録音を分析しつつ、シューベルトの《未完成》やシューマンの交響曲第2番に付されたエッセイについて、その効能を西洋的な「知」のありようの是非をまじえて論じています。

※文中レコード番号・表記・事実関係などは連載当時のまま再録しています。

万にその道を知れるものは、やむごとなきものなり

ジュゼッペ・シノーポリ演奏のレコードの何枚かを、数日がかりで聴いた。

リッカルド・シャイーやシノーポリの演奏からは、明瞭に新しい「世代」を感じる。彼は1946年のヴェネツィア生まれだそうで、つまり戦後の世代である。ムーティが1941年生まれというから、わずか5しか違わないが、スタイルは全然ちがう。やはり、両者の間に断層が走っている、という感じがする。シャイーに至っては1953年のミラノ生まれということで、ますます生きがいいわけだ。彼の場合は未だ生きが良すぎる、ということも言えなくはない。だが、シノーポリはもう40に手が届く年齢だから、表現のスタイルは固まっている。

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