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レコ芸アーカイブ 編集部セレクション|レコード芸術が旅をした#5

若林駿介「パリ・ローマ・アムステルダム・ロンドン」(『欧米の音と生活』③)

レコード芸術が旅をした_海外編

 このコーナーでは編集部が、資料室に眠る旧『レコード芸術』の複数の記事を、あるテーマをもとに集めて、ご紹介していきます。
 テーマは「レコード芸術が旅をした」。東京をねじろとする『レコード芸術』ですが、誌面で展開されたまなざしは、東京近辺に完結するものでは決してありませんでした。
 1967年に、4回にわたって掲載された、若林駿介さんの『欧米の音と生活』の第3弾「パリ・ローマ・アムステルダム・ロンドン」(1967年11月号)をお届けします。本邦を代表する録音エンジニアとして活躍し、オーディオ評論家の顔も持っていた若林さんは、海外通でもあり、欧米諸国を繰り返し訪れ、そのレポートを『レコード芸術』に寄せることもありました。
 タイトル通り、生活面にも着目した若林さんの文章・写真からは、その土地に生きる人々の「音・音楽」観が浮かび上がります。

 ※記事中の写真は、若林駿介氏の撮影によるものです。

 パリといえば、女性にとってはあこがれの都であろうし、流行の発祥地として代表されるところでもある。
 すべてが何んとなくシャレており、はやるレストランへ行けばブドウ酒をはじめとしてエスカルゴ(かたつむり)の味などが忘れられない。
 音楽面では、オーケストラなどもたくさんあるが、やはり「オペラ座」で代表されるのではなかろうか。広さ12,000平方メートル、座席の数が二千余りと世界最大の大劇場であるともいう。1861年に起工して1875年に完成したというから、完成までになんと14年の月日を費やしたことになる。入口のまわりのアーケードのアーチは彫像で側面がかざられ、音楽家の浮彫が特に有名である。音の点では、いわゆる大理石などによる快よい反響音、うるおいのある中に明瞭度を失わないという、華麗であるが落着きをもったトーン・カラーが非常に印象的である。

①パリ・オペラ座
世界最大の劇場ともいわれているが、いろいろな彫像にまず眼をひかれる。

②ワン・ポイントシステムのシャルランの録音
ブーム・スタイルに吊されたマイク。一本ですべての録音は行われる。

③パテ・マルコニーのレコードプレス材料
自動的にレコード材料がこねまわされ、どんどんプレスが進められてゆく。

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