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フェリス女学院大学グローバル教養学部心理コミュニケーション学科教授。富山県出身。東京学芸大学大学院にて修士号(教育)を取得後、2003年フロリダ州立大学にて博士号(音楽学)を取得。専門はアメリカのクラシック音楽で、博士論文のテーマは1930年代、アメリカのネットワーク・ラジオ放送によって委嘱された音楽作品。帰国後は専門を生かした音楽評論活動に従事し、『レコード芸術』や『音楽現代』に各種レビューを執筆。2016年4月から国立音楽大学非常勤講師。著書に『ディズニー・ミュージック ディズニー映画 音楽の秘密』(スタイルノート 2016) がある。
4時間睡眠で勉学に励む

今回取り上げるクレストンという作曲家は、読者にとって馴染みが薄い存在かもしれない。本国アメリカでもコープランドやバーバーほどには聴かれていない。今年生誕100年を迎えるのに、彼を記念して大々的なコンサートが開かれるというニュースも聞いていない。しかし50年ほど前、クレストンはアメリカで最も演奏される作曲家の一人だった。現在も、全米各地の大学で行なわれるコンサートでは、サクソフォン・ソナタやマリンバ小協奏曲[フォンテック FOCD3257]などが演奏され、これらの楽器の奏者には、クレストンという名前は広く知られている。私がフロリダで出会った音楽愛好家にもクレストンの音楽に熱心なのがいて、1950年代に出されたモノラルのLPレコードを持っていないか尋ねられたことがある。日本では吹奏楽曲《ザノニ》や《プレリュードとダンス》からクレストンを知り、他の作品へと興味を広げていくこともあるようだ。このようにクレストンの音楽には、一度そのスタイルに惚れ込むと二度と離れられなくなるような魅力があるのかもしれない。そういったファンの支えもあってか、ここ10年ほどの間にクレストン作品を収めたCDが次々と発売され、特にオーケストラやピアノのための作品が手軽に楽しめるようになった。
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