文化復興の象徴の響き
2025年は、1995年1月17日に発生した阪神・淡路大震災から、30年の節目。震災から10年後の2005年、文化復興のシンボルとして兵庫県立芸術文化センター(兵庫県西宮市)と、その専属オーケストラ、兵庫芸術文化センター管弦楽団(以下、PACオーケストラ)が誕生しました。
今回は、そのオーケストラの演奏を収めたディスクを、編集部が5つご紹介。録音芸術の視座から足跡を辿ります。
佐渡裕/開幕の祈り
PACオーケストラのデビュー盤。創設から芸術監督を務める佐渡裕がタクトを振っている。オープニング・コンサートの直前にセッション録音した、静かな祈りに満ちたアルバムである。
開幕の祈り
〔バーバー:弦楽のためのアダージョ,マーラー:交響曲第5番~アダージェット,モーツァルト:クラリネット協奏曲~第2楽章,J.S.バッハ:G線上のアリア,他〕
佐渡裕(指揮) 兵庫芸術文化センターo. シャノン・オーム(cl) 黒瀬恵(org)
〈録音:2005年10月〉
[エイベックス(D)AVCL25077]SACDハイブリッド
《佐渡の第九》兵庫熱狂ライヴ
そして2005年10月から11月にかけて、兵庫県立芸術文化センターのオープニング・コンサートが催された。第九は佐渡が得意とするレパートリーだ。
《佐渡の第九》兵庫熱狂ライヴ
〔J.S.バッハ:G線上のアリア,ベートーヴェン:交響曲第9番《合唱付き》〕
佐渡裕(指揮) 兵庫芸術文化センターo.
〈録音:2005年10月(L)〉
[エイベックス(D)AVBL25514]DVD
sonority of japan 点と面
坂本龍一《箏とオーケストラのための協奏曲》初演ライヴを収録。佐渡&PACオーケストラの好演はもちろん、カップリングされたグバイドゥ―リナにも注目である。
sonority of japan 点と面
〔坂本龍一:箏とオーケストラのための協奏曲,グバイドゥーリナ:樹影にて〕
佐渡裕(指揮) 兵庫芸術文化センターo. 沢井一恵(箏)
〈録音:2010年4月(L)〉
[commmons(D)RZCM46928]
エルガー:交響曲第1番,ヴァイオリン協奏曲
ヴァイオリンの漆原朝子は、エルガーの協奏曲がライフワークだと公言していて、指揮のウォルフはサー・コリン・デイヴィスの息子。そんな激アツのプログラムが組まれた、第95回定期演奏会の模様を収録している。
エルガー:交響曲第1番,ヴァイオリン協奏曲
ジョセフ・ウォルフ(指揮) 兵庫芸術文化センターo. 漆原朝子(vn)
〈録音:2017年4月(L)〉
[ライヴノーツ(D)WWCC7846]
イベール:フルート協奏曲,他
こちらが今のところ最新盤となる。ランパルに学んだ、現代きってのフルーティスト工藤重典と、アンテルコンタンポランへの登場も多いロフェの共演による、オール・近代フランス・アルバムだ。
イベール:フルート協奏曲,他
〔イベール:フルート協奏曲,ドビュッシー:交響詩《海》
,デュカス:交響詩「魔法使いの弟子」〕
パスカル・ロフェ(指揮) 兵庫芸術文化センターo. 工藤重典(fl)
〈録音:2019年4月〉
[マイスター・ミュージック(D)MM4070]
そしてPACオーケストラは、阪神・淡路大震災30年、そしてセンターの開館20周年を記念するプログラムを、本日1月17日から3日間上演している(1月17日現在、チケットは予定枚数終了)ほか、さまざまな20周年記念公演を予定している。
4月13日に開幕する大阪・関西万博でも、「1万人の第九 EXPO2025」(1月20日の午後5時まで合唱団員を募集している。詳細は左記URLをクリック)で演奏を行う。さらには「ひょうごフィールドパピリオン」へも登場予定。今後の活動にも目が離せない。
Text:編集部