構成・文・CDセレクト=芳岡正樹
過去71年分の旧『レコード芸術』誌には、来日した名演奏家たちの多くの貴重な写真が眠っています。当連載では、今から半世紀前(=1974年)前後の日本のクラシック界の活況を、それらの写真を通して振り返っています。第5回は1969年。引き続き超大物の来日ラッシュだったが、この頃から「来日記念盤」が大々的に発売されるなどレコード会社との連携も堅固になり、それらは「銘盤」「定番」として永く聴き継がれていくことになる。
1969年は日本の国民総生産が西ドイツを抜いて西側で世界第2位となった年である。レコードの生産金額も前年比142%という驚異的な伸びを示していた(日本レコード協会「音楽ソフト 種類別生産金額推移」より)。世界の音楽業界が日本市場に一層注力したのも当然で(旧)『レコード芸術』誌面を見ても、来日アーティストと、その所属レコード会社が一体となった来日公演、来日記念盤の大広告が目立つようになった。来日アーティストのグラビアもこうした事情を反映したものとなっている。
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