ラヴェルと○○特別企画
ラヴェルと〇〇

小澤征爾のラヴェル。大評判の復刻によって、鮮烈さも新たに

ラヴェル/管弦楽作品集
〔ボレロ,スペイン狂詩曲,ラ・ヴァルス,バレエ組曲《マ・メール・ロワ》,古風なメヌエット,クープランの墓,バレエ《ダフニスとクロエ》全曲, 高雅にして感傷的なワルツ,海原の小舟,亡き王女のためのパヴァーヌ,道化師の朝の歌〕

小澤征爾指揮ボストン交響楽団,タングルウッド祝祭合唱団
〈録音:1974年3月~1975年4月〉
[グラモフォン(S)4866722(4枚組,海外盤)]180g重量盤LP

文=山之内正(オーディオ評論)

オリジナル8トラックまで遡ることによって得られる“本質的な差”

ドイツ・グラモフォンがボストン交響楽団でラヴェルの管弦楽作品の録音を新たに開始したのは小澤征爾が音楽監督に就任した直後の1974年のことで、翌年4月まで続いたシンフォニーホールでのセッション録音はLPレコード4枚組で発売され、小澤とボストン響の緊密な関係を象徴する人気作となった。CD時代も同コンビの代表作として高評価が定着し、SACDも含めて複数のリマスタリングが行なわれ、一部の曲はペンタトーンのDSDリマスターシリーズでもSACDが発売された。

その名録音が今度はアナログリマスター盤としてLPで発売されたのだが、今回は既存のマスターからのレコード化ではなく、DGが2年前に立ち上げた「オリジナル・ソース・シリーズ」での登場という点に重要な意味がある。

同シリーズは半世紀前のレコードをたんに復刻するのではなく、オリジナルの4または8トラックのマスターテープ(1/2インチ)から直接ステレオにミックスし、カッティングを行なうことが核心だ。従来盤はステレオにミックスダウンした1/4インチマスターの孫コピーから原盤を作っていたので無視できないレベルの劣化が生じる。一方、新シリーズは製作工程が大幅に少なくなるので、原音に近い音を再現できるとされる。対象となる録音は1970年代にDGが4チャンネル録音用に収録していたマルチトラックマスターが現存する音源に限られるが、そこから厳選したLPがすでに20タイトルほど発売され、音質改善の大きさが話題を集めている。

ラヴェル生誕150年を迎え、小澤&ボストン響のラヴェルが同シリーズに加わることになった。ちなみに録音時のデータシートによると、今回の音源はオリジナルマスターは8トラック収録と記載されている。

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