モーリス・ラヴェル生誕150年アニバーサリー企画の一環で、3月3日~17日の期間に募集した、私の「ラヴェルのお気に入り曲と、その銘盤・愛聴盤」アンケートの結果を発表いたします。「お気に入り曲」で最も票を集めたのは《ピアノ協奏曲ト長調》で、順当に《ボレロ》《ダフニスとクロエ》《ラ・ヴァルス》《亡き王女のためのパヴァーヌ》《マ・メール・ロワ》が続き、意外なところで《ピアノ三重奏曲》《シェエラザード》なども入選。以下、挙げていただいた「お気に入り曲」を①~③、その愛聴盤を●でまとめています。多数の書込みありがとうございました。※現況廃盤のディスクも多く、ジャケット写真は文中とは異なる参考盤・関連盤も含め挙げています。
Notung131 さん
①ピアノ三重奏曲
②マ・メール・ロワ(オーケストラ版)
③ピアノ協奏曲
●ピアノ三重奏曲〔+ヴァイオリン・ソナタ,ヴァイオリンとチェロのためのソナタ他〕 ルノー・カピュソン(vn)ゴーティエ・カピュソン(vc)フランク・ブラレイ(p)〈2001〉[エラート(D)WPCS13052]
●マ・メール・ロワ〔+亡き王女のためのパヴァーヌ,ドビュッシー:交響詩《海》,牧神の午後への前奏曲〕 カルロ・マリア・ジュリーニ指揮コンセルトヘボウo〈1989〉[ソニー(D)SICC40026]
●ピアノ協奏曲〔+左手のためのピアノ協奏曲,バルトーク:ピアノ協奏曲第3番 他〕 モニク・アース(p)ポール・パレー指揮フランス国立o〈1965〉[DG(S)UCCG5271]
ピアノ・トリオは若い頃から折に触れて聴きますが、そのたび喜劇的だったり、哀感いっぱいだったり、大きな振れ幅で印象が違って聞こえる「不思議曲」。それだけ表現の幅が大きく密度が濃い名曲なのでしょう。



ももんが さん
①ソナチネ
●ピアノ作品全集 モニク・アース,イーナ・マリカ(p)〈1968〉[エラート(S)WPCS12259~60]
初めてラヴェルのピアノ曲に挑戦した際、CDを探したていたら、タイトルが揃っていたのと、お求めやすい値段だったため購入。以後、聴き続けている。



るうのパパ さん
①ピアノ三重奏曲
②ヴァイオリン・ソナタ
●ピアノ三重奏曲,ヴァイオリン・ソナタ(+ヴァイオリンとチェロのためのソナタ,フォーレの名による子守歌,ツィガーヌ,ドビュッシー:ヴァイオリン・ソナタ) ジャン=ジャック・カントロフ(vn)ジャック・ルヴィエ(p)フィリップ・ミュレール(vc)〈1973〉[エラート(S)WPCS22199~200]
エマニュエル・ベアール主演のフランス映画『愛を弾く女』ではヴァイオリニストのヒロインがこの曲を演奏する場面も登場します。これを観てすっかりお気に入りの曲になりました。



盛田紫央里 さん
①水の戯れ
②亡き王女のためのパヴァーヌ(ピアノ版)
●水の戯れ,亡き王女のためのパヴァーヌ(+鏡,夜のガスパール,ソナチネ,高雅にして感傷的なワルツ,クープランの墓,古風なメヌエット,ハイドンの名によるメヌエット,マ・メール・ロワ他) ヴラド・ペルルミュテール(p)〈1973~75〉[ニンバス(S)TMNI21004(2枚組)]
フランス物に限っては、断然ピアノ曲が好きです。他のものはオケが好きなのですが。フランス物ならではの色彩感が、ピアノの方が際立つような気がするのです。一つ一つの音がキラキラしているように聞こえます。ペルルミュテールはラヴェルから直接教わったことがある、と解説にあったのを読んで、他のものを聴かなくてもこれを聴いていれば十分と思うようになりました。



あらやん さん
①亡き王女のためのパヴァーヌ(オーケストラ版)
②ダフニスとクロエ(全曲)
③ボレロ
●管弦楽曲集〔クープランの墓,古風なメヌエット,道化師の朝の歌,海原の小舟,亡き王女のためのパヴァーヌ〕 アンドレ・クリュイタンス指揮パリ音楽院o〈1962〉[EMI(S)TOGE12094]
匂うような典雅な趣がクリュイタンスの演奏にはあります。ブーレーズの冷たい雰囲気も魅力ですが。



阿部智彦 さん
①子供と魔法
②ピアノ協奏曲
③ボレロ
●子供と魔法(全曲) アンドレ・プレヴィン指揮ロンドンso〈1997〉[DG(D)UCCG53086]
●ピアノ協奏曲(+ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第4番) アルトゥーロ・ベネデッティ・ミケランジェリ(p)エットレ・グラチス指揮フィルハーモニアo〈1957〉[ワーナー(S)WPCS23043]
●ボレロ(+スペイン狂詩曲,マ・メール・ロワ,亡き王女のためのパヴァーヌ) クラウディオ・アバド指揮ロンドンso〈1985〉[DG(D)UCCG2070]
ラヴェルの作品は好きなものが多すぎて、とてもこの文字数では収まらない。特に印象に残った演奏を挙げてみました。《子供と魔法》は舞台よりも、むしろディズニーあたりでアニメ化したほうがより楽しめるのではないかと思うのだが、どうでしょうか。プレヴィン向けの作品でもあると思う。ミケランジェロのピアノ協奏曲:ピアノは勿論のこと、オーケストラが素晴らしい。アバドの《ボレロ》:クライマックスのあれには驚いた。



新宿たますけ さん
①ラ・ヴァルス(オーケストラ版)
②ピアノ協奏曲
③亡き王女のためのパヴァーヌ(オーケストラ版)
●ラ・ヴァルス(+ボレロ,海原の小舟,古風なメヌエット,道化師の朝の歌,亡き王女のためのパヴァーヌ,クープランの墓,マ・メール・ロワ,スペイン狂詩曲) 小澤征爾指揮ボストンso〈1974〉[DG(S)UCCG6106~7]
●ピアノ協奏曲(+プロコフィエフ:ピアノ協奏曲第3番) マルタ・アルゲリッチ(p)クラウディオ・アバド指揮ベルリンpo〈1967〉[DG(S)UCCS50041]
●亡き王女のためのパヴァーヌ(+クープランの墓,古風なメヌエット,道化師の朝の歌,海原の小舟) アンドレ・クリュイタンス指揮パリ音楽院o〈1962〉[ワーナー(S)WPCS23276]
新しい録音で聴きたいと思いますが、なかなかこれらを超えるレコードに出会えません。デュトワさんの録音をよく聴いていましたが、最近はやや刺激が強く感じられるようになりました(耳の老化か?)。結局もとのところに帰ってきました。小澤さんの Original Source Vinyl シリーズを楽しみにしています。



ミフネンコ さん
①弦楽四重奏曲
②ラ・ヴァルス
③展覧会の絵(ラヴェル編曲)
●弦楽四重奏曲(+ドビュッシー,バルトーク第4番) パルカニ四重奏団〈2003〉[Praga(D)PRD250208]
●ラ・ヴァルス(+マ・メール・ロワ,道化師の朝の歌,亡き王女のためのパヴァーヌ,高雅で感傷的なワルツ,ボレロ) ジョン・ウィルソン指揮シンフォニア・オブ・ロンドン〈2020〉[Chandos(D)RCHSA5280]
●展覧会の絵(+ドビュッシー:聖セバスティアンの殉教) ギュンター・ヴァント指揮NDRso〈1999〉[RCA(D)SICC10137]
ラヴェルはアナログ時代の歴史的録音よりハイレゾのSACDに手が伸びる。今一番のヘヴィロテはパルカニの「弦楽四重奏曲」。ウィルソンの演奏はどれも素晴らしいが、バスドラの「ドン」という音に感激した《ラ・ヴァルス》を選択。昔から一番聴いてきたのは《ボレロ》ではなく《展覧会の絵》。こちらも優秀録音のヴァント盤をチョイス。



鎌谷朝之 さん
①スペインの時
②道化師の朝の歌(オーケストラ版)
③ヴァイオリン・ソナタ
●歌劇《スペインの時》(+歌曲集《シェエラザード》他) エルネスト・アンセルメ指揮スイス・ロマンドo,シュザンヌ・ダンコ(S)他〈1953〉[デッカ(M)UCCD4126]
●道化師の朝の歌(管弦楽曲全集より) ジャン・マルティノン指揮パリo〈1974〉[EMI(S)TOCE7359~62]
●ヴァイオリン・ソナタ(+フランク,ドビュッシー:ヴァイオリン・ソナタ) アルテュール・グリュミオー(vn)イシュトヴァーン・ハイドゥ(p)〈1962〉[フィリップス(S)UCCD9829]
《スペインの時》は作曲家と親交のあったアンセルメによる抱腹絶倒の傑作笑劇。コケティッシュな魅力全開のダンコ演じるヒロインにわらわらと言い寄る男どもがケッサク。《道化師の朝の歌》はマルティノンの傑作ラヴェル全集からの1曲。アンサンブルを整えつつ奏者の自発性を引き出す名指揮者の真骨頂。ラヴェルの室内楽はどれも素晴らしいが、これはフランコ=ベルギー楽派の流れを汲むグリュミオーの品格高いヴァイオリンが堪能できるという不滅の価値がある。



shitoshio さん
①ピアノ協奏曲
②ラ・ヴァルス
③ボレロ
●ピアノ協奏曲(+プロコフィエフ:ピアノ協奏曲第3番) マルタ・アルゲリッチ(p)クラウディオ・アバド指揮ベルリンpo〈1967〉[DG(S)UCCS50041]
●ラ・ヴァルス(+ダフニスとクロエ他) ピエール・ブーレーズ指揮ニューヨークpo〈1974〉[ソニー(S)SRCR1581],ピエール・ブーレーズ指揮ベルリンpo〈1993~94〉[DG(D)UCCS50065]
●ボレロ(ヴァルトビューネ・コンサートより)キリル・ペトレンコ指揮ベルリンpo〈2024(L)〉[配信]
アルゲリッチ盤、ブーレーズ盤、昔から愛聴しています。



春高 さん
①クープランの墓(オーケストラ版)
②クープランの墓(ピアノ版)
③夜のガスパール
●クープランの墓(+ダフニスとクロエ,古風なメヌエット,道化師の朝の歌,海原の小舟,亡き王女のためのパヴァーヌ) アンドレ・クリュイタンス指揮パリ音楽院o〈1962〉[エラート(S)WPGS10013]
●クープランの墓,夜のガスパール(+高雅にして感傷的なワルツ,前奏曲,シャブリエ風に,ボロディン風に) サンソン・フランソワ(p)〈1967〉[EMI(S)TOCE91105]
クリュイタンス指揮の《クープランの墓》を初めて聴いたとき、そのエレガントな演奏に感動した。今となっては古さを感じさせる録音だが、これ以上の演奏には巡り会えていない。フランソワは大好きなピアニストで、技巧の点で彼に勝る演奏はあっても、特に《夜のガスパール》の幻想的な演奏は他の追随を許さない。



篠崎 博 さん
①ラ・ヴァルス(オーケストラ版)
●ラ・ヴァルス(+チャイコフスキー:交響曲第6番《悲愴》,ベルク:管弦楽のための3つの小品) ミヒャエル・ギーレン指揮SWFso〈1993(L)〉[インターコード(D)IDC2023]
●ラ・ヴァルス他 ジョルジュ・プレートル指揮シュトゥットガルト放送so〈1995(L)〉[SDR/Mediaphon(D)BZ75.200]
●ラ・ヴァルス他 クリストフ・エッシェンバッハ指揮オーストラリア・ユースo〈1988(L)〉[ABC(D)426478-2]
甘い郷愁と苦い明日が交錯する《ラ・ヴァルス》は厄災の到来を予言する。ギーレンは救いようのない絶望を、プレートルは懸命に希望をそこに見出す。そしてエッシェンバッハは狂気が支配する世界を描き出す。大災害や戦争が日常となった今、《ラ・ヴァルス》は音楽ではなく現実となる。



HNカルテット さん
①ボレロ
②亡き王女のためのパヴァーヌ(オーケストラ版)
③ピアノ協奏曲
●ボレロ(+ラ・ヴァルス,スペイン狂詩曲,マ・メール・ロワ,高雅にして感傷的なワルツ) アンドレ・クリュイタンス指揮パリ音楽院o〈1961~62〉[エラート(S)WPGS10012]
●亡き王女のためのパヴァーヌ(+ダフニスとクロエ,クープランの墓,古風なメヌエット,道化師の朝の歌,海原の小舟) アンドレ・クリュイタンス指揮パリ音楽院o〈1962〉[エラート(S)WPGS10013]
●ピアノ協奏曲(+左手のためのピアノ協奏曲) サンソン・フランソワ(p)アンドレ・クリュイタンス指揮パリ音楽院o〈1959〉[エラート(S)WPCS23040]
ラヴェルゆかりのパリ音楽院管の華麗で瀟洒な音色が印象的。《ボレロ》の独創性、《マ・メール・ロワ》のファンタジー、《亡き王女のためのパヴァーヌ》の抒情に惹かれる。《ピアノ協奏曲》は、極彩色と淡色が明滅する洒脱で切れのある音楽。緩徐楽章が揺蕩うに美しく、ボレロ同様、大見得を切る両端楽章のクライマックスが爽快。



はしょあん さん
①ピアノ三重奏曲
②ピアノ協奏曲
③ダフニスとクロエ(全曲)
●ピアノ三重奏曲(+ショーソン:ピアノ三重奏曲) パスカル・ロジェ(p)小林美恵(vn)長谷川陽子(vc)〈2002〉[オニックス(D)ONYX4008]
●ピアノ協奏曲(+ショパン,フォーレ,ミヨー,モーツァルト,ベートーヴェン) マルグリット・ロン(p)ジョルジュ・ツィピーヌ指揮パリ音楽院o〈1952〉[EMI(M)TOCE16313~4]
●ダフニスとクロエ(全曲) アンドレ・クリュイタンス指揮パリ音楽院o、ルネ・デュクロcho〈1962〉[EMI(S)CC33-3397]
《トリオ》は何気なく求めた一枚だが、いつしか手放し難い愛聴盤となった。心の奥底に沈み込んだ感情を慈しみ愛撫するような繊細な表現に惹かれる。《協奏曲》は第2楽章のピアノとコールアングレの乾いた掛け合いが絶品。《ダフニス》は色彩の薄れかけた時空の靄の向こうから、古代の若人たちの哄笑が聴こえる。



岡﨑直人 さん
①亡き王女のためのパヴァーヌ(オーケストラ版)
②ダフニスとクロエ(全曲)
③海原の小舟
●亡き王女のためのパヴァーヌ(+スペイン狂詩曲,ドビュッシー:牧神の午後への前奏曲,夜想曲より) ピエール・モントゥー指揮ロンドンso〈1961〉[デッカ(S)K15C7049(LP)]
●ダフニスとクロエ(全曲) シャルル・デュトワ指揮モントリオールso〈1980〉[デッカ(D)UCCD5218]
●海原の小舟 ルイ・フレモー指揮モンテ・カルロ歌劇場o〈1960~70年代〉
思い出のラヴェル。モントゥー盤は、小学生の終わりごろ買った初めての「ラベル」(当時の表記)。擦り切れるほど聴いた。デュトワ盤は、亡き友人の新婚所帯にお邪魔して初めてソニーのCDプレーヤー(CDを縦入れするレーベルが見える機種)で聴かせてもらった。《海原の小舟》は、海の見える精神科病院でソーシャルワーカーとして働いている時に、患者さんたちと一緒に海原のきらめきを眺めながら聴いた)。



外山和也 さん
①ボレロ
●ボレロ(+道化師の朝の歌,スペイン狂詩曲,ラ・ヴァルス)シャルル・デュトワ指揮モントリオールso〈1981〉[デッカ(D)UCCD5219]
●ボレロ(+スペイン狂詩曲,ラ・ヴァルス) 小澤征爾指揮ボストンso〈1974〉[DG(S)UCGG9516]
●ボレロ(+マ・メール・ロワ,海原の小舟,道化師の朝の歌,スペイン狂詩曲) ピエール・ブーレーズ指揮ベルリンpo〈1993〉[DG(D)UCCS9132]
《ボレロ》は曲の構成が革新的。音のクオリティも良いものを選定した。



吉成吉彦 さん
①クープランの墓(オーケストラ版)
②亡き王女のためのパヴァーヌ(オーケストラ版)
③ダフニスとクロエ(全曲)
●クープランの墓(+ボレロ,ドビュッシー:交響詩《海》,牧神の午後への前奏曲)ゲオルク・ショルティ指揮シカゴso〈1980〉[デッカ(D)UCCD3752]
●亡き王女のためのパヴァーヌ(+クープランの墓,古風なメヌエット,道化師の朝の歌,海原の小舟) アンドレ・クリュイタンス指揮パリ音楽院o〈1962〉[エラート(S)WPCS23276]
●ダフニスとクロエ(+高雅にして感傷的なワルツ) クラウディオ・アバド指揮ロンドンso〈1988〉[DG(D)PROC1887]
3曲とも素晴らしいオーケストレーション。《クープランの墓》はどの演奏でも良いが、自分世代のヒーロー達のものを。クリュイタンスの《パヴァーヌ》はホルンをはじめ今では聴くことができない音色を堪能。アバド盤《ダフニス》はオーケストラが素晴らしい。



武蔵屋茂左右衛門 さん
①クープランの墓(ピアノ版)
②左手のためのピアノ協奏曲
③ダフニスとクロエ(全曲)
●クープランの墓(+鏡,水の戯れ,亡き王女のためのパヴァーヌ,夜のガスパール,ソナチネ,高貴で感傷的なワルツ,ボロディン風に,シャブリエ風に,古風なメヌエット,ハイドンの名によるメヌエット,マ・メール・ロワ他) ヴラド・ペルルミュテール(p)他〈1973〉[ニンバス(S)TMNI21004~5]
●左手のためのピアノ協奏曲(+ピアノ協奏曲,ドゥルシネア姫に思いを寄せるドン・キホーテ,亡き王女のためのパヴァーヌ他) セドリック・ティベルギアン(p)フランソワ=グザヴィエ・ロト指揮レ・シエクル〈2020〉[Harmonia Mundi(D)HMM902612]
●三部からなる合唱付き舞踏交響曲《ダフニスとクロエ》全曲(+)ピエール・ブーレーズ/ニューヨークpo,エイブラハム・カプラン/カメラータ・シンガーズ〈1975〉[Sony(S)SMM5054092]
ペルルミュテールによるピアノ版《クープランの墓》は、管弦楽版では影に隠れがちな “戦没した友への追悼” を浮彫りする作曲者直伝の奏法・解釈。フーガの訴え、トッカータの緊迫は戦時下の心象風景か?「左手のための協奏曲」では、ティベルギアン奏でる1892年プレイエル製グランパトロンが圧巻。併走するロト&レ・シエクルは旧式管楽器が悲鳴?そして20世紀バレエ音楽はニューヨークpo時代のブーレーズが最高!



元笛吹き さん
①マ・メール・ロワ(オーケストラ版)
②マ・メール・ロワ(ピアノ連弾版))
●マ・メール・ロワ(+高雅にして感傷的なワルツ,古風なメヌエット,口絵(ピエール・ブーレーズによる1987年管弦楽版),《シェヘラザード》序曲) ロバート・トレヴィーノ指揮バスク国立o〈2021〉[オンディーヌ(D)NYCX10359]
●マ・メール・ロワ(オリジナル版+ラ・ヴァルス,道化師の朝の歌,亡き王女のためのパヴァーヌ,高雅で感傷的なワルツ,ボレロ) ジョン・ウィルソン指揮シンフォニア・オブ・ロンドン〈2021〉[シャンドス(D)RCHSA5280]
●マ・メール・ロワ(フォーレ:ドリー,プーランク:4手のためのソナタ,ドビュッシー:6つの古代の墓碑銘,ドビュッシー:小組曲,ストラヴィンスキー:3つのやさしい小品) スティーヴン・オズボーン、ポール・ルイス(p)〈2020〉[ハイペリオン(D)PCDA68329]
最愛曲の《マ・メール・ロワ》を、クリュイタンス、デュトワ、ロト以外でチョイス。管弦楽版からは、バスクのオーケストラの独特な語り口が魅力のトレヴィーノ盤と、カラフルで高解像度かつ版の選択にもこだわったウィルソン盤を。ピアノ連弾版からは、抒情的でありながら華麗なオズボーン&ルイス盤を。



chitaya さん
①弦楽四重奏曲
②ダフニスとクロエ
③マ・メール・ロワ(オーケストラ版)
●弦楽四重奏曲(+デュティユー:弦楽四重奏のための《夜はかくの如く》,ドビュッシー:弦楽四重奏曲)アルカント四重奏団〈2009〉[ハルモニア・ムンディ(D)KKC5108]
●ダフニスとクロエ(+バークリー:ディヴェルティメント,アダム・パウンズ:交響曲第3番) ジョン・ウィルソン指揮シンフォニア・オブ・ロンドン他〈2022〉[シャンドス(D)RCHSA5327]
●マ・メール・ロワ(+高雅にして感傷的なワルツ) アンドレ・クリュイタンス指揮パリ音楽院o〈1962〉[エラート(S)WPCS23274]
本当は方言マル出しのような濃ーい臭ーい演奏をラヴェルでは聴きたいのですが、作品があまりにもよくできているせいか、時々アルカント四重奏のような異次元演奏が登場してその気持ちをぶっとばされます。《ダフニス》ウィルソン盤も、こんな音で聴けるならコンサート不要。現代録音技術の勝利。最後クリュイタンス盤は、前二者で我を見失った時の帰還場所



男声専科 さん
①シェエラザード(歌曲集)
②ドゥルシネア姫に思いを寄せるドン・キホーテ
③スペインの時
●シェエラザード,スペインの時, 2つのヘブライの歌,マラルメの3つの詩 シュザンヌ・ダンコ(S)エルネスト・アンセルメ指揮スイス・ロマンドo,ハインツ・レーフス(Br)アンドレ・ヴェシエール(Bs)ポール・ドゥレヌ(T)他〈1953〉[デッカ(S)UCCD4126]
●シェエラザード(+5つのギリシア民謡,2つのヘブライの歌,デュパルク:旅への誘い,ドビュッシー:カンタータ《放蕩息子》より) ビクトリア・デ・ロス・アンヘレス(S)ジョルジュ・プレートル指揮パリ音楽院o〈1964〉[エラート(S)WPCS12787]
●シェエラザード(+ベルリオーズ:夏の夜,ドビュッシー:ビリティスの3つの歌,プーランク:月並み 他) レジーヌ・クレスパン(S)エルネスト・アンセルメ指揮スイス・ロマンドo他〈1963〉[デッカ(S)POCL6023]
「男声専科」的にはジョゼ・ヴァン・ダムが歌う《ドゥルシネア姫に思いを寄せるドン・キホーテ》や、もちろん《スペインの時》も捨て難いが、ラヴェルの場合だけは「女声専科」に宗旨替えして、歌曲集《シェエラザード》を偏愛。シュザンヌ・ダンコ、ロス・アンヘレス、クレスパンの3人の名唱があれば他は何もいらなくなる。



センスのない単車乗り さん
①ピアノ協奏曲
●ピアノ協奏曲(+道化師の朝の歌,歌曲集《シェエラザード》,ラ・ヴァルス,ツィガーヌ,ボレロ) レナード・バーンスタイン(p・指揮)フランス国立o,マリリン・ホーン(S)ボリス・ベルキン(vn)〈1975(L)〉[ドリームライフ(S)DLVC8116(DVD)]
●ピアノ協奏曲(+左手のための協奏曲) サンソン・フランソワ(p)アンドレ・クリュイタンス指揮パリ音楽院〈1959〉[Columbia(S)SAXF136(海外盤LP)]
●ピアノ協奏曲(+左手のための協奏曲,ファリャ:スペインの庭の夜)フランソワ=ジョエル・ティオリエ(p)アントニー・ヴィット指揮ポーランド国立放送so〈1993〉[Naxos(D)8550753(海外盤)]
バーンスタイン盤、フランソワ盤=ラヴェルは悪童でなくては! 育ちのいい不良が滲み出ます。特にバーンスタイン盤はこの楽曲の金字塔。最後は一転、きれいなラヴェル。こういうのが聴きたくなる時がある。ダルめのコンポにも馴染む録音が良きです。


