ラジオとクラシック特別企画
ラジオ放送開始100周年

聴き比べ! 8人の名指揮者による
セッション録音と放送音源〔後編〕

セッション録音と放送音源2

2025年は、日本におけるラジオ放送開始から100年の節目! レコ芸ONLINEの特別企画シリーズ「ラジオとクラシック」の第2弾は、「セッション録音と放送音源」です。8人の名指揮者が遺したセッション録音の名盤と、その前後にライヴで演奏した放送音源を聴いて、違いを楽しみましょう。
ディスクの配列は収録年順で、後編は1960年代後半から1980年代の録音を取り上げます。

前編はこちら:クレンペラー、バーンスタイン、クナッパーツブッシュ
後編(この記事):バルビローリ、クーベリック、ボールト、ハイティンク、ジュリーニ

選・文=相場ひろ(フランス文学)&増田良介(音楽評論)

バルビローリ、BPOとNPOで《悲劇的》を指揮(1966/67年)

1966年、ジョン・バルビローリとマーラーの交響曲第6番を演奏したベルリン・フィル(BPO)は、先に採り上げた第9番と同様に彼とのセッション録音を希望したが、すでにニュー・フィルハーモニア管(NPO)との録音日程が組まれていたために断念したという。そうした因縁のあるふたつの演奏の比較となる。先に行なわれたベルリンでのライヴの方が全体にテンポが速い上に変動の幅も大きく、対してセッション録音ではいくぶん余裕のあるテンポさばきになっているのは解釈の熟成ゆえだろうか。弦楽器の重量感と圧力を前面に出したBPOと、十分な力感を持ちながらも管楽器の色彩の重なり具合を克明に音にしていくNPOと、それぞれの個性が発揮されているのも面白い。しかし最大の違いは、さまざまな楽器に受け継がれていく旋律群について、デコボコとした印象のあるBPOに対し、NPOとの共演では弦・管の間での表現の同質性により腐心している様子がうかがえることだ。(相場)

【セッション】
マーラー:交響曲第6番《悲劇的》

ジョン・バルビローリ指揮ニュー・フィルハーモニア管弦楽団
〈録音:1967年8月17日~19日〉
[Warner(S)9029500428(5枚組,海外盤)]

【ライヴ】
マーラー:交響曲第6番《悲劇的》


ジョン・バルビローリ指揮ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
〈録音:1966年1月13日(L)〉
[Testament(M)SBT1342(海外盤)]

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