
桜咲く春の上野を舞台にした国内最大級のクラシック音楽の祭典「東京・春・音楽祭2026」が、2026年3月13日(金)から4月19日(日)まで約40日間にわたり開催される。10月30日に(木)に行なわれた記者発表に参加したので、『レコード芸術ONLINE』編集部が注目する公演を紹介しよう。(文・構成:編集部T.O.)
在京オーケストラを起用したオペラ演奏会形式公演
今年のオペラ演奏会形式は2つ。まず「ワーグナー・シリーズ」では俊英アレクサンダー・ソディとN響が《さまよえるオランダ人》を上演(4月5・7日)。オランダ人にミヒャエル・クプファー=ラデツキー、ゼンタにカミラ・ニールンドなど歌手陣も豪華。
一方「プッチーニ・シリーズ」には昨年も指揮して好評を得たピエール・ジョルジュ・モランディが読響を振って《マノン・レスコー》を(4月16・19日)。こちらも期待大。

アレクサンダー・ソディ©Miina Jung

ミヒャエル・クプファー=ラデツキー©Dan Hannen

カミラ・ニールンド©Shirley-Suarez
合唱付きの大作《グレの歌》とハイドン《四季》も
「合唱の芸術シリーズ」も大作が並ぶ。これまで「ワーグナー・シリーズ」で音楽祭を牽引してきた名匠マレク・ヤノフスキがN響&東京オペラシンガーズを振ってシェーンベルク《グレの歌》を(3月25日)。ヴァルデマール王をディヴィッド・バット・フィリップが歌うほか、クプファー=ラデツキーやカミラ・ニールンドなど《オランダ人》で歌う歌手たちも多く参加する予定。
もうひとつ、名曲だが演奏機会が少ないハイドン《四季》を、アイヴァー・ボルトン=都響&東京オペラシンガーズが上演。これも聴きものだ。

マレク・ヤノフスキ©Felix Broede

ディヴィッド・バット・フィリップ©Andrew Staples

アイヴァ―・ボルトン©Ben Wright
内外のアーティストによる好企画が目白押し
大ホール公演で注目は、ベートーヴェンのピアノ協奏曲全曲をルドルフ・ブッフビンダーが東京春祭オーケストラを弾き振りする2夜(4月4・6日)。記者会見では水戸芸術館からリモート出演して意気込みを語っていた。
小ホールや他の会場(*印は旧東京音楽学校奏楽堂)での公演も好企画が目白押し。武満徹没後30年に寄せた荘村清志(g)リサイタル(3月15日)と村松稔之(CT)の歌曲集(4月4日*)、トレヴァー・ピノックとエマニュエル・パユ(fl)&ジョナサン・マンソン(vc)の共演(3月20日)、コハーン(cl)と仲間たちによるウェーバー没後200年プロ(3月21日*)、務川慧悟(p)による「日曜日の朝のプーランク」(3月22日)、3度目の登場となるアンサンブル・アンテルコンタンポランによるジョージ・ベンジャミン《小さな丘へ》日本初演(4月4日)、没後50年のブリテン《カンティクル》全曲(4月6日)、などなど。たくさんあって紹介しきれない……。
東京国立博物館平成館ラウンジで行なわれる「ミュージアム・コンサート 東博でバッハ」も5公演を予定。その他、国立科学博物館、東京都美術館、国立西洋美術館、上野の森美術館でも「ミュージアム・コンサート」が開催される。東京藝術大学奏楽堂では加藤昌則の指揮・お話、神奈川フィルの演奏で「ザ・ヴォーン・ウィリアムズ」なる公演も(4月5日)。
メイン会場となる東京文化会館が2026年5月から改修工事のため休館となるため、次年度以降の開催がどうなるか気になるところだが、まずは来年春は上野の森を舞台とした音楽祭を楽しみたい。大ホール公演の先行発売が11月上旬から始まるので、チェックをお忘れなく(詳しくは公式サイトを参照のこと)。
【東京・春・音楽祭2026公式サイト】https://www.tokyo-harusai.com/

 
           
           
           
           
           
           
          