特別インタビュー特別企画

ジャン=ギアン・ケラス
バッハ《無伴奏チェロ組曲》との歩みを込めた
CDアルバムと本について

インタビュー後に行われたイベントに向けて、楽器を調弦

ジャン=ギアン・ケラスは、現代の世界最高のチェロ奏者の一人だ。ケラスによるJ.S.バッハの無伴奏チェロ組曲全曲の2023年の再録音は、名盤として知られた2007年の最初の録音よりもさらに自由闊達で、深みを増した、素晴らしいアルバムである。このアルバムについて、本年7月にエマニュエル・レイベルとの共著で刊行された『バッハ《無伴奏チェロ組曲》との旅 その真髄を探る対話』(藤本優子訳/音楽之友社刊)の内容とあわせて、お話をうかがった。

Interview & Text=山崎浩太郎(演奏史譚)
通訳=藤本優子
Photo=編集部

ジャン=ギアン・ケラス Jean-Guihen Queyras
1967年モントリオール生まれ。リヨン国立高等音楽院、フライブルク音楽大学、ジュリアード音楽院でチェロを学ぶ。1990年より2001年までアンサンブル・アンテルコンタンポランのソロ・チェロ奏者を務め、2002年にはグレン・グールド賞を受賞したブーレーズの選考により、傑出して有望な若手芸術家に対して贈られるグレン・グールド・プロテジェ賞を受賞。レパートリーはバロックから現代まで多岐にわたり、ウィーン楽友協会、コンセルトヘボウ、ウィグモア・ホール、カーネギー・ホール等、世界の主要ホールでリサイタルを行なう。また、パリ管、バイエルン放送響、ロンドン響、フィラデルフィア管をはじめとするオーケストラと共演。2007年と2023年の二度にわたって録音したバッハ《無伴奏チェロ組曲》全曲ほか数々のCDをリリース。使用楽器は1706年頃製作のストラディヴァリウス“Kaiser”(カナダCanimex Inc.より貸与)。フライブルク音楽大学教授。

再録音までに起きた、音楽を通した出会いの数々

───バッハの無伴奏チェロ組曲の再録音について、もうこの質問に答えるのはうんざりされていると思いますが……。

ケラス「Pourquoi、なぜ再録音したか?という質問ですね(笑)」

───そうです!(笑)

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