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相反する要素が混在
模倣不可能な作風
ブーレーズとの壮絶なケンカは昨年(2004年)11月号の相場ひろ氏の原稿をご覧頂くとして、我が国でも矢代秋雄氏などにやっつけられたせいか、ジョリヴェの人気や知名度は高かったとは言えまい。だが登場人物が《打楽器協奏曲》を演奏した漫画『のだめカンタービレ』のお蔭で、昨今ジョリヴェの名が随分広まったようである。舞台、バレエ、映画はもとよりCM音楽まで手を出し、初期の過激な前衛的作風から、あからさまにジャズに影響を受けた一種の新古典主義的作風の第2トランペット協奏曲までの幅広さを持つジョリヴェ。その豊穣さ、ないしは節操のなさは「音楽のジキル&ハイド氏」と椰楡される所以ともなった。しかし粗暴なまでの荒々しさと過敏で繊細なる洗練という、相反する要素を混ぜ合わせる底力のある、本能的で模倣不可能なその芸術は、今も魅力的磁力を発し続けている。生誕100年を迎え再発盤も並んだ今こそ、ジョリヴェを聴き直す千載一遇のチャンスである。
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