速報レポ特別企画
速報レポ

サー・サイモン・ラトル & バイエルン放送交響楽団 記者懇親会

ラトル_20241125_1

サー・サイモン・ラトルと、バイエルン放送交響楽団(以下、BRSO)の記者懇親会へ行って参りました。その模様を速報で、ダイジェストにてお届けします。

指揮者ラトル & BRSO
苦節6年を経た、新たな挑戦

11月25日、2023/24シーズンよりBRSOの首席指揮者に就任したサー・サイモン・ラトルと、事務局長ニコラス・ポントの初来日コンビが、東京で記者懇親会を開いた。

ラトル BRSOは、伝統的レパートリーの公演、さらに同時代音楽の演奏会シリーズ「ムジカ・ヴィヴァ」にも意欲的に取り組んでいる、魅力あふれるオーケストラです。日本とはすでに深い関係がありますが、今回の来日を契機に、より新鮮な関係を結べたらと思っています。

BRSOの事務局長ポントは、この6年間は苦難の連続だったと語る。団員に親しまれた前任の首席指揮者マリス・ヤンソンスが亡くなり、パンデミックで公演もままならない。それまで行っていた来日も見合わせることになった。

ポント しかし、サー・サイモンが首席指揮者に就任してからの1年間は、われわれにとって新時代の幕開けでした。ピリオド楽器の使用や、吹奏楽の演奏など、今までになかったことに次々挑戦しています。ようやく叶った来日も、とても特別な機会となります。

ニューイヤー・コンサート並みの素早さで
準備されたマーラー:交響曲第7番のディスク

ラトル&ポント_20241125_2
レーベル、輸入元泣かせの日程で作られたライヴ盤を掲げる事務局長ポント。カメラマンを務めた編集部員が、会場の逆光に泣いたのは言うまでもない

今回の来日公演では、11/23兵庫、28東京、29愛知のプログラムにマーラー:交響曲第7番《夜の歌》を入れている。サー・サイモンが1980年にバーミンガム市響で振って以来、何度も取り上げてきた、渾身のレパートリーだ。

ポント 今月上旬にミュンヘンで行われた公演のライヴ盤を、ニューイヤー・コンサートのCD並みのスピードで準備しました。大成功を収めた演奏です。今回の日本公演で先行発売していますよ!

マーラー:交響曲 第7番 ホ短調《夜の歌》<初回限定生産盤>

サー・サイモン・ラトル指揮 バイエルン放送交響楽団
〈録音:2024年11月6-8日 ミュンヘン、イザールフィルハーモニー・イン・ガスタイクHP8(L)〉
[BR KLASSIK(D)900225JP]
初回限定生産盤・日本語解説付
2024年12月13日 一般発売予定

【音楽之友社の関連書籍】
マーラーを語る 名指揮者29人へのインタビュー

ヴォルフガング・シャウフラー 編 天崎浩二 訳
ISBN:9784276201361 〈発行:2016年3月〉

29人の名指揮者が、マーラー作品との出会い、演奏の難しさ、楽しさを語り尽くす。サー・サイモンはもちろん、今までにBRSOの首席指揮者を務めた、マリス・ヤンソンス、ロリン・マゼールによる言葉も収録されている。

ブルックナーの交響曲第9番
そして尊敬する指揮者たち

サー・サイモンは質疑応答で、さらに色々なことを語ってくれた。

今回のプログラムのなかには、コールス校訂版によるブルックナーの交響曲第9番もある。

ラトル 今回演奏するブルックナーの第9番は、「現世」を描いていると考えています。そして終わり方にも議論がありますね……私はいずれの終結の方法もいいと思っています。またこの曲は、20世紀へ向かう作品だということを忘れてはならないですね。今回のプログラムでは、9番とともに、リゲティやウェーベルンを入れています。

この楽曲も、ぜひ音源化を期待したいところ。そしてブルックナーの指揮者については、ヘルベルト・ブロムシュテットを尊敬していると語る。

ラトル 彼は古楽、教会音楽……ブルックナー演奏の基盤をしっかり押さえています。彼以上のブルックナー指揮者はいないと思っています。

またピリオド楽器を使用する背景には、ニコラウス・アーノンクールへの敬愛もあるようだ。

ラトル 私はアーノンクールの追っかけでした! 古楽、特にバッハに向き合うためには、音楽の内外のもの(テクストなど)の探究を積み上げなくてはいけません。この姿勢は、他のあらゆる音楽と対峙する場合にも相通じると考えています。

ラトル&ポント_20241125
サー・サイモンとBRSOの強力コンビは始まったばかり。どのような演奏・録音が生まれるのか、今後に目が離せない



【サー・サイモン・ラトル指揮、バイエルン放送交響楽団 日本公演】
 *はマーラーの第7番を演奏

 2024/11/23(土・祝) 兵庫県立芸術文化センター KOBELCO大ホール*
 2024/11/24(日) ミューザ川崎シンフォニーホール
 2024/11/26(火) サントリーホール
 2024/11/27(水) サントリーホール
 2024/11/28(木) NHKホール (NHK音楽祭2024)*
 2024/11/29(金) 愛知県芸術劇場 コンサートホール*

 各公演の詳細はこちらから。

サー・サイモン・ラトル|Sir Simon Denis Rattle OM CBE

現代の世界的指揮者。バーミンガム市響、ベルリン・フィル、ロンドン響のシェフを歴任。2023/24シーズンよりバイエルン放送響/合唱団の首席指揮者に就任した。オペラ指揮者としての活躍も見逃せない。幣サイトの新譜月評2024年10月号で推薦盤に選出された『ヤナーチェク:歌劇《カーチャ・カバノヴァー》』も、彼が指揮したもの。

バイエルン放送交響楽団|Symphonieorchester des Bayerischen Rundfunks

ミュンヘンを本拠地とする名門オーケストラ。2009年から自主レーベル「BR KLASSIK」を始動。今回のマーラーもそのレーベルから出た1枚だ。今年2024年は創立75周年の記念年である。また「ムジカ・ヴィヴァ」は、作曲家ハルトマンによって始められた演奏会シリーズ。幣サイトで再録中の「特捜プロジェクト カール・アマデウス・ハルトマン」も、ぜひチェックされたい。

Text:編集部

タイトルとURLをコピーしました