
旧『レコード芸術』誌の人気企画「リマスター鑑定団」の復活第2弾! “お気に入りの名盤を少しでも良い音で聴きたい”と集まった編集部有志とゲストが、リマスター盤を旧盤と比較して、侃々諤々好き放題に語り合います(後編)。
クナッパーツブッシュのワーグナー/管弦楽曲集 タワーレコードSACD

ワーグナー/管弦楽曲集
〔《ニュルンベルクのマイスタージンガー》前奏曲,《タンホイザー》 序曲,《トリスタンとイゾルデ》前奏曲と〈愛の死〉,《パルジファル》前奏曲,《リエンツィ》 序曲,《さまよえるオランダ人》 序曲,ジークフリート牧歌,《ローエングリン》前奏曲〕
ハンス・クナッパーツブッシュ指揮ミュンヘンpo
〈録音:1962年11月〉
[ウェストミンスター(タワーレコード)(S)PROC2423~4]SACDハイブリッド
――続いては、クナッパーツブッシュです。前回のリマスター鑑定団では、タワーレコードから発売されたミュンヘン・フィルとのブルックナー:交響曲第8番のSACDハイブリッド盤を聴きましたが、今回、続編としてワーグナー管弦楽曲集が発売されました。こちらも待望の初SACD化です。
では、《ニュルンベルクのマイスタージンガー》前奏曲を聴いてみましょう。比較に使用した旧盤は90年代後半に出たMCAビクターのCD[MVCW18001]です。
(《マイスターシンガー》前奏曲の冒頭を試聴)
A SACDは素晴らしいですね。この録音は少し丸まった、もっさりした印象が今までありました。でもこのSACDでは、そうしたアナログ的なもっさり感が綺麗に取り除かれていてスッキリとした音。S/Nが良く、ノイズも少ない。細かい情報が自然な音場で浮き出てきて、古さを感じさせない音に仕上がってます。
B クナッパーツブッシュの本質がどこまで伝わるか心配でしたが、SACDはさすがでした。音場の広がりにも感心しました。
C CDはゴツゴツとして、ぶっきらぼうな感じがクナらしいとも言えます。SACDは質感が滑らかで、より豊か。初めて聴く人にはSACDが良いと思いますが、私はCDの方が好みです。
芳岡 MCAビクターのウェストミンスター再発シリーズは、オリジナルテープを使って音が良くなった代表的な例ですね。CDは低弦が厚く、迫力はあるのですが、少しわざとらしさも感じます。SACDは音場の壮麗な広がりが素晴らしく、楽器同士のハーモニーがよく聞こえます。クナッパーツブッシュのスケールの大きさが、ゆったりしたテンポだけでなく、響きの雄大さからも伝わってきます。
A 木管ソロの潤いも全然違います。CDでは割れそうな音だったのが、SACDではみずみずしい。ただ、ハープがうるさい(笑)。 マイクが近すぎたのかもしれません。ホルンは最高音をちょっと外していて、そこが惜しかったです。
初出LPと比較する
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