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年末年始に読みたい音楽書3選

この年末、本誌「新譜月評」でも健筆を振るう3氏の新著が相次いで発売されました。年末年始にじっくり読みたい“音楽の聴き方”が変わる充実の著作をご紹介します。

初演から200年。時代に翻弄される《第九》のすべて

ベートーヴェン《第九》の世界
小宮正安・著
岩波新書
本体960円+税

「歓喜に寄す」の強烈なメッセージ性ゆえに、様々な時代の局面において象徴的な意味合いを持たせられ、その度に時代に翻弄される形になった《第九》の歴史を、前史から成立、その後の受容に至るまで丁寧に追っていく。さながら《第九》を通してみるヨーロッパ史、のみならず日本も含めた世界史としても本書は十分成立している。常に時代の真ん中にいる《第九》という曲の“すごさ”に改めて気付かされる一冊。

『レコード芸術』の人気連載が大幅加筆で単行本化

三月一一日のシューベルト ~音楽批評の試み
舩木篤也・著
音楽之友社
本体2,600円+税

「対旋律が揺さぶる――」。月刊誌『レコード芸術』に2020年1月号から23年7月号(休刊号)まで、22回にわたって連載され圧倒的な支持を得た連載「コントラプンクテ 音楽の日月」に大幅に加筆、書名を変更しての単行本化。「音楽」からの視点と、「音楽とは異なる世界」からの視点を交差させることで、あたかも対旋律が主旋律を引き立てるが如く、音楽の新たな魅力や人生の味わい、世界への問題意識が浮かびあがります。表題タイトルの章の他、「マーラー×緊急事態宣言」、「バッハ×させていただく」、「ワーグナー×川上未映子」等、意外性と刺激に満ちた音楽批評が展開。

《ばらの騎士》を極める。充実の一冊

オペラ対訳×分析ハンドブック
リヒャルト・シュトラウス/楽劇 ばらの騎士
広瀬大介 訳・著
アルテスパブリッシング
本体3,500円+税

リヒャルト・シュトラウス研究の第一人者で、作品解説・字幕制作などに定評のある広瀬大介氏によるリブレット対訳シリーズ。《サロメ》、《エレクトラ》に続く第3弾として、いよいよ《ばらの騎士》が登場。成立史と譜例を多用した楽曲分析、詳細な註釈がついたオペラ対訳を収録し、これ一冊で《ばらの騎士》を“隅から隅まで”知ることができる。なお、広瀬氏の著作は2025年2月にも音楽之友社から『知っておきたい! 近代ヨーロッパ史とクラシック音楽』の刊行が予定されている。

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