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山田和樹 & バーミンガム市交響楽団 日本ツアー 記者会見

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2025年6~7月に指揮者の山田和樹さんが、バーミンガム市交響楽団と日本ツアーを行います! 本日の記者会見では、ツアーについて、「RMF&山田和樹グローバルプロジェクト」について、さらに色々なことが発表されました。
その模様を速報で、ダイジェストにてお届けします。

大注目の日本ツアー。若い音楽家向けの特別な企画も

会見は1月16日、サントリーホールのブルーローズ(小ホール)で開催され、ジャパン・アーツ社長の二瓶純一、ローム ミュージック ファンデーション(以下、RMF)事務局長の竹内善行による挨拶、そしてツアーおよびプロジェクトの要、山田和樹の会見という構成で進行した。

二瓶 プロジェクトの一環で、このたびバーミンガム市交響楽団(以下、CBSO)が日本ツアーを行います。全8公演のうち4つが、RMFとの主催公演です。ヘンリー・ウッド編曲版《展覧会の絵》チャイコフスキーの交響曲第5番といったプログラムはもちろん、3人のソリスト、チェロのシェク・カネー=メイソンさん、ピアノの河村尚子さん、イム・ユンチャンさんにもぜひご注目ください。

バーミンガム市交響楽団 2025年日本ツアー スケジュール
*印はジャパン・アーツとRMFの主催公演

↑クリックすると、ジャパン・アーツとRMFの主催公演の詳細がみられます(外部サイト)

6月28日(土) 15:00 愛知県立芸術劇場 コンサートホール
6月29日(日) 14:00 兵庫県立芸術文化センター KOBELCO
6月30日(月) 19:00 東京オペラシティ コンサートホール *
7月1日(火) 19:00 サントリーホール *
7月2日(水) 19:00 サントリーホール *
7月4日(金) 19:00 アクロス福岡 シンフォニーホール
7月5日(土) 15:00 ロームシアター京都 メインホール *
7月6日(日) 14:00 横浜みなとみらいホール

竹内 RMFでは、これまで音楽を学ぶ学生の育成事業に取り組んできました。次のツアーでも、未来の音楽家のための取り組みを打ち出してまいります。また、これは海外での展開ですが、モンテカルロ・フィルへのソリストの派遣も行います。公募から選ばれたフルートの石井希衣さんが6月、現地公演に出演します。

2025年 山田和樹指揮 バーミンガム市交響楽団 日本ツアーにおける
ローム ミュージック ファンデーションの取り組み

①学生限定の「RMFシート」(S席を税込4,000円で!)
②日本人の若手音楽家の海外オケへのゲスト参加企画(今回の日本ツアーにはヴァイオリンの福田麻子が参加。アシスタント指揮者の公募も調整中)
③ローム ミュージック セミナー(山田和樹さんとCBSOメンバーによるセミナー。詳細は後日発表)

世界でいちばん幸せな指揮者が放つ「けしかけ」

山田和樹の会見が始まった。このレポートでは、質疑応答の内容を含めてまとめる。

山田 僕は最近、藤子・F・不二雄の『パーマン』に出てくるコピーロボットが欲しくてしかたがない。やりたいことが沢山あるのに忙しい。僕は若いとき、ある人に注目が集まって、その人の話題ばかりになって……そういう音楽の世界がとても嫌いでした。面白くないんですよ。今でもそういうことってありますよね。それで、今の自分にできる有効な手立ては、「けしかける」ことだと思っています。けっきょく、コピーロボットはいない。誰かの力を借りなくちゃ。

バーミンガム市は、2023年に財政破綻した。それでもCBSOの団員はポジティブで、山田は夢のような時間を過ごしていると語る。

山田 世界に指揮者は沢山いるけれど、世界でいちばん幸せな指揮者は僕です。2024/25シーズンからCBSOの音楽監督になれたとき、「More party!」と言われました。宴会の出席率は100%。そういう雰囲気のオケです。ただ団員からは、「自分たちよりも、カズキの方がずっとポジティブだ」と言われています。全員で前を向いて、できる限りのことをやっています。ドイツ公演が中止になったとき、バーミンガムの街に繰り出して無料コンサートを開いたこともありました。

CBSOというと、2024年のBBCプロムスで《展覧会の絵》(ヘンリー・ウッド編曲版)が演奏されたときに、オーケストラから叫び声が聴こえたことも記憶される。

山田 CBSOの団員は、オルガンが鳴ると一緒にワー!と声を出したり、演奏中によく叫ぶんです。あのときは「せっかくのプロムスだから叫びたい」と言われて、喜んでOKを出しました。僕はこれに限らず、たとえば拍手やブラヴォーのフライングについては容認派なんです。

プログラムの舞台裏にあるもの

プログラムにはショスタコーヴィチ《祝典序曲》がある。そこでも「けしかけ」を企んでいるようだ。

山田 金管を自由に足せる曲なんです。だから音楽学生に声を掛けて、一緒に乗ってもらえるようにしたいって考えています。面白いでしょ。

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「オーケストラは世界の縮図です。CBSOのポジティブさを、多くの人に知ってほしいですね」

ウッド編曲版の《展覧会の絵》も気になるところだ。

山田 僕は、あの有名なラヴェル版を演奏したことがないんです。ストコフスキー版や伊藤康英版など沢山振ってきたのに! あと、日本ツアーではいま鐘が足りない。バーミンガムからは持っていけないし、どうフォローすればいいのか、すごく考えています。

そして山田の師、小林研一郎が得意としているチャイコフスキーの交響曲第5番も演奏される。

山田 小林先生は、人間的にとても大きい方です。他人の痛みに寄り添い、さらりと真理をおっしゃる。僕が先生の十八番を振るのは、じつは本当に畏れ多い……7~8年はやっていないプログラムです。

山田にとって、ソリストの3名はどのような人物なのだろうか。

山田 カネー=メイソンさんはイギリスの人気音楽家ですが、素直な心を持っていて、音が柔らかい人です。河村尚子さんはソウルメイトみたいな人で、たまたま同じ日に、同じレストランでまったく同じメニューを食べていたことがありました。イム・ユンチャンさんは20歳くらいのとても若い人。昨年のBBCプロムスで共演したときにも演奏した、ラフマニノフのピアノ協奏曲第4番をやります。

録音プロジェクト進行中! マエストロのこれから

CBSOでは年間18週ものコンサートに登場する山田。コピーロボットが欲しいほど多忙で、破竹の勢いで飛躍を続ける指揮者は、これからの展望についても語ってくれた。

山田 僕は人の声が好きなんです。だから年に一度はオペラをやりたい。モンテカルロ・フィルで、今年3月にラヴェルを、来年にはドビュッシーをやります。日本オケも沢山振りたいんですが、これからはヨーロッパに集中するときだと思っています。もちろん、「けしかけ」のプロジェクトも続けていきますよ! それから、指揮者の仕事の8割はオーガナイズです。いかにして公演に人を集めるか? 待つだけではいけなくて、街でコンサートをやったように、外へ出て行くことも大切だと思います。

「これからはヨーロッパに集中するとき」と語る山田だが、日本フィルの第767回東京定期(1/17~18)、大阪響の「メンデルスゾーン――光のほうに」(1/22~29)をはじめ、日本オケへの登場もなくはない。気になった方は、Web版コンサート・ガイドで是非チェックしてみてほしい。

最後に、このコンテンツはレコード芸術ONLINEだった。忘れてはいけない関心事、録音プロジェクトも進行中だという。そこでも「けしかけ」を聴くことができるのだろうか?

山田 CBSOとの演奏をドイツ・グラモフォンにレコーディングしていただいています。まずはイギリスものということで、ウィリアム・ウォルトンの作品。今後は日本人作曲家ものも録りたいですね。

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左から、ジャパン・アーツ社長の二瓶氏、RMF事務局長の竹内氏、指揮者の山田氏。
山田和樹|YAMADA Kazuki

2025年、最も勢いのある指揮者の1人。東京藝術大学在学中から幅広く活躍し、2009年にブザンソン国際指揮者コンクールで優勝を果たす。国内外オケのポストを兼任するほか、東京混声合唱団やモンテカルロ・フィルの音楽監督を務めるなど、歌ものの指揮も得意とする。2024/25シーズンからバーミンガム市響の音楽監督に就任。2025年のベルリン・フィルデビューにも注目が集まっている。

バーミンガム市交響楽団|City of Birmingham Symphony Orchestra

イギリスを代表するオーケストラ。本拠地はバーミンガムのシンフォニー・ホールだが、世界各地で年間150回以上のコンサートを行っており、国際的に名声を博している。サー・サイモン・ラトル、サカリ・オラモ、アンドリス・ネルソンス、グラジニーテ=ティーラらがシェフを務めたことでも知られる。また、アウトリーチ・プログラムを盛んに行っていることも大きな特徴だ。

Text:編集部

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