音楽評論家・城所孝吉氏の連載、第3回は、シューベルトの弦楽四重奏曲第14番ニ短調D.810《死と乙女》。この作品に貫かれているテーマは「メメント・モリ」(=死を想え)。人間の死の淵が垣間見えるようなこの壮絶な音楽物語を、クリスマスあるいはお正月を迎えるこの時期に聴き直してみる、というのもなかなかに逆説的で意味深いことかも知れません。
シューベルト作品の「隠れた物語性」
「極論」としてお聞きいただきたいのだが、音楽作品には、曲自体の自律性が高く、演奏者が特別なことをしなくても成り立つものと、積極的に解釈しなければ形にならないものとの、二種類があると思う。
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